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第297回定例講習会

日時:令和元年10月6日(日) AM9:30~PM2:50

会場:名古屋市立大学 医学研究科・医学部研究棟11階 講義室A

内容

吉田 豊 先生
吉田 豊 先生

1) 自律神経機能評価 運動と自律神経-透析患者を中心に- (公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座

名古屋市立大学研究員  吉田 豊 先生

健康寿命、生体加速度、自律神経活動の評価などについて、生体情報効果として心拍・血圧・脈拍・呼吸・生体加速度など長時間記録したデータを分析して、自律神経活動・生体負担度を数値化して評価をする、高齢化社会で平均年齢の延伸から健康寿命の延伸にパラダイムシフト(世の中が変化すること)に変わりつつあること、生体加速度を測定した結果を図で説明をして頂いたが、その人の日常生活のパターンが分かり個人情報に繋がる、自律神経活動の指標である心拍変動において、スポーツをした後の睡眠中の自律神経活動を調べた実験では、運動日の副交感神経活動は低下した。低下した副交感神経活動は非運動日のレベルと比べて回復しなかったことなどを教えて頂きました。ご講義の後、活発な質疑応答がありました。

岩瀬 敏 先生
岩瀬 敏 先生

2) 基礎生理学  (公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座

愛知医科大学医学部生理学講座教授  岩瀬 敏 先生

前頭前野について、サルの動物実験でトレーニング後、前頭前野を破壊すると障害物にさえぎられた食べ物をとることができなくなった。これは小脳が関与していると考えられていたが、前頭前野が関係していることがわかったこと、大脳においてホムンクルスの図を用いて運動野や体性感覚野と体部位との対応関係について教えて頂きました。

さらに運動連合野、運動野、補足運動野、前頂葉、側頭葉の解剖学的位置や役割などを分かりやすくスライドで説明をして頂きました。

江原真理子 先生
江原真理子 先生

3)心臓リハビリテーションに対する基礎・臨床(2)

 「ポスト急性期が肝心!予後改善に向けた、多職種チームによる心臓リハビリテーション」

名古屋ハートセンター循環器内科画像診断部長 江原真理子 先生

人口構造と心不全患者の将来的な背景として、心不全は進行がゆっくりであるが癌よりも緩慢な進行で癌以上に質が悪い、心臓は血液を循環させるポンプで、心臓が悪くなると全身が病んでくる、心不全は「身不全」であり、交感・副交感神経の絶妙なバランスがくずれ、交感神経が過度に働き身体に重い負荷をかける自律神経の不調・神経体液因子の働きが亢進する内分泌ホルモンバランスの異常、体をむしばむ炎症性サイトカインの放出する炎症生産物の産生を起こす。運動機能は30歳以降1年に1%ずつ落ちていくので運動の必要性や、日常の食生活における心臓疾患と栄養ではメタボやロコモティブシンドロームとの関係、心疾患において睡眠不足は食欲制御ホルモンが出て過食になるなどを教えて頂きました。

最後に、これからの医療はチーム医療で医師主導から共通の土台・知識を持ち各専門職に分けて、多職種で裏付けのある根拠に基づいた臨床を行うことが必要であるとを教えて頂きました。

 

 

林 﨨一 先生
林 﨨一 先生

4)生活習慣病に対する症例報告及び症例検討

「糖尿病と鍼灸治療」

鍼和会会長 林 﨨一 先生

前回、症例報告して頂いた薬物の服用なしで鍼灸治療のみの患者の現況として、糖尿病の指標であるHbA1cが7%代で安定しているとの報告がありました。今回は、糖尿病の治療方針として、共通の治療経穴、耳鍼、証、電気鍼、糖尿病の患者の体の特徴(背診、腹診)などについても教えて頂きました。