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第296回定例講習会

日時:令和元年7月7日(日) AM9:30~PM2:50

会場:名古屋市立大学病棟・中央診療棟3F大ホール

内容

森山善文 先生
森山善文 先生

1) 自律神経機能評価 運動と自律神経-透析患者を中心に- (公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座

名古屋共立病院統括部長リハビリ室室長  森山 善文 先生

自律神経機能の特徴、透析患者の運動療法の具体的な進め方、自律神経機能と心拍変動についての説明と、透析患者はなぜ筋量・筋力が低下するのか?それは、たんぱく質制限、炎症、酸化ストレスなどが原因であること、さらに、運動療法で自律神経機能を改善させ、ある程度筋量・筋力を回復させるという報告があり、透析中に患者の年齢、体の筋肉の状態に応じて、血圧低下を注意しながら運動をさせること、病院でのリハビリは安全で有効な有酸素運動を患者に勧めて、内容として種類(ウオーキング、自転車)、強度(だんだん速くする)、時間(15~30分・1日合計30分)、頻度(2日に1回が理想)、他にはレジスタンス運動があり、強度(10回を3セット)、頻度(透析治療以外の週3回)、鍛える筋肉を意識しながら運動(筋肉の張りや筋肉痛に注意)をすることが大事であることを教えて頂きました。

最後に、医療従事者の監視下で安全に行える、透析開始後は心不全が改善し安全に行える、運動による筋肉の乳酸の蓄積が透析液で緩衝される、週3回の透析日に行うため習慣化しやすい等、病院での透析患者の運動療法のメリットを教えて頂きました

岩瀬 敏 先生
岩瀬 敏 先生

2) 基礎生理学 高次機能Ⅰ大脳皮質について  (公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座

愛知医科大学医学部生理学講座教授  岩瀬 敏 先生

大脳は前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉に分けられること、さらにドイツのブロードマンにより、大脳皮質を6層に分けた脳地図として、第5層の錐体細胞が重要であることを教えて頂きました。大脳皮質の局在として、大脳皮質が部分ごとに違う機能を担っているとする説では、前頭葉は運動野、側頭葉は聴覚・嗅覚野、頭頂葉は感覚野、後頭葉は視覚野に関係していることを教えて頂きました。

前頭野は前半部と後半部では機能が異なり、前半部(前頭前野)の機能として、注意力や刺激に対する運動反応の制御、情動を制御すること、後半部(運動野、運動前野、補足運動野)では運動指令を脳幹部や脊髄へ出力、習熟した操作(視覚情報)、操作の順序等を教えて頂きました。

さらに前頭前野は、記憶する、感情をコントロールする、学んだ技術や知恵を生かす、状況にあわせて判断するなどの機能を持っているが、前頭前野の背外側前頭前野に障害が起こると作業能力(ワーキングメモリ)の低下、注意集中の注意制御機能の低下、判断力の低下、目的達成のための企画遂行、計画性、問題解決能力の低下などが起こり、神経心理学的研究から欠損部分を逆に考えることが行われていることを教えて頂きました。

柴田 賢一 先生
柴田 賢一 先生

3)心臓リハビリテーションに対する基礎・臨床(1)

 「多職種で挑む心臓リハビリテーション」

名古屋ハートセンターリハビリテーション部理学療法士主任  柴田 賢一 先生

心血管疾患患者の身体的・心理的・社会的・職業的状態を改善し、快適で活動的な生活を実現することを目指し、個々の患者の医学的評価・運動療法・危険因子是正・患者教育及びカウンセリング・最適薬物治療を他職チームと協力をして行うことは必要であること。狭心症や急性心筋梗塞、開心術後や慢性の心不全、カテーテル大動脈弁留置術後などが、心臓リハビリテーションの対象疾患となることを教えて頂きました。

心臓リハビリテーションの歴史は、1930年代には心筋梗塞発症後8週間はベッド上で絶対安静であったのが、1950年代には座位での訓練が介入され、1960年代には早期離床・退院の概念が進み定着してきたことを教えて頂きました。

実際の症例から、冠動脈バイパス術後、1日目に座位や立位でのリハビリテーションを開始し、ラインやコード類が挿入されているので、血圧低下など循環動態に注意しながらリハビリテーションを行い、術後2日目には不整脈や心臓の痛みなどに気をつけながら100メートル歩く歩行練習に入り、術後3日目からリハビリテーション室で、時期的には点滴や酸素が外れる頃になるので、痛みや不整脈に気を付けながらのウオーキングや自転車こぎなどの運動療法を行い、運動の構成要素としては、1)運動の種類2)運動強度3)運動の継続時間4)運動の頻度であり、各指標をもとに患者と話し合いながら運動を習慣化していくことを目標にし、病態の悪化や意欲の低下、転倒などによる外傷に気を付けながら、心臓リハビリテーションを卒業できることを目指していくことを、スライドを用いて詳細に教えて頂きました。

 

 

菊池達矢 先生
菊池達矢 先生

4)生活習慣病に対する症例報告及び症例検討

「糖尿病と経絡治療」

経絡治療学会東海支部支部 菊池 達矢 先生

はじめに、患者さんが鍼灸院に来院したきっかけは、①糖尿病以外の不定愁訴で来院する、②糖尿病と知って種々の不定愁訴で来院する、③糖尿病とは自身が分かっていない、などの3種類が考えられ、古典文献「諸病源候論」では消渇病諸候に八論があり、喉が渇き多尿し、痩せていく状態から、各種の合併症により傷が治りにくく腫物ができたり、最終的に腎不全になる病態が記載されていることを教えて頂きました。さらに、いろいろな古典文献から糖尿病と経絡治療的病態像をまとめると、経絡治療の考え方では糖尿病の病態は「腎の津液不足による熱」で上焦、中焦、下焦の3種類に分類されており、それぞれについて詳しく説明をいただきました。

最後に、「蜂窩織炎の鍼治療で糖尿病を疑った一症例」について、経絡治療の視点から臨床報告を資料に基づき教えて頂きました。