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第294回定例講習会

日時:平成31年3月3日(日) AM9:30~PM4:00

会場:名古屋市立大学病棟・中央診療棟3F大ホール

内容

藤井 徹 先生
藤井 徹 先生

1) 糖尿病の基礎と臨床 (公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座

社会医療法人八千代病院 内分泌代謝内科部長  藤井 徹 先生

AI(人工知能)が、糖尿病治療の一端を担ったり糖尿病患者のQOLを如何にして質を上げられるかを数年前から考えられていることを冒頭にお話しをして頂きました。現在は、糖尿病療養指導の目標としてセルフパターンマネージメント(形)を重要視し、1段階(自己との対峙)、2段階(セルフパターンマネージメントの獲得)、3段階(自己管理)の3段階に分けて血糖管理をしっかりできるよう糖尿病の患者に指導をしていることを教えて頂き、さらにこのセルフパターンマネージメント(形)を使用した糖尿病患者の症例報告をして頂きました。考察として、糖尿病医療においては「人」が介在することが必要であるが、人の継続的介在はとても重要なのかという疑問に対して、その介在する「人」を「AI」に導入できるかを5年から10年をかけて実現できるように進めているお話をスライドで示しながらお話をして頂きました。 

岩瀬 敏 先生
岩瀬 敏 先生

2)基礎生理学 (公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座

愛知医科大学医学部生理学講座教授 岩瀬 敏 先生

視床下部について、機能を知るためには解剖を勉強することによって基礎生理学(神経生理学)の意義が理解できることができることを教えて頂きました。視索前野の腹外側視索前野は睡眠に関係がありオレキシンの分泌を抑え、オレキシンニューロンはモノアミン系に投射して覚醒を安定化させる。まとめとして、睡眠には体内時計のリズムを作るメラトニン、睡眠と覚醒のスイッチに関係する物質はオレキシンが関係していることを、スライドを用いてリズム調節の神経機構を教えて頂きました。最後に、情動(行動あるいは表情を通して客観的に捉えられる喜怒哀楽に関する脳の活動)は、リズム調節の調整機構で成り立っているが、通常反応とは異なる状況が続くと、各種の反応によりその経路が変わってしまうことをスライドでわかりやすく説明をして頂きました。

 

山田 篤 先生
山田 篤 先生

3)生活習慣病の基礎・臨床、診断と治療

(公社)生体制御学会研究部生活習慣病班班長 山田 篤 先生

今回は、鍼刺激が血糖コントロールのどこに関与しているのかを、鍼治療と糖尿病の和文献をデータベース化されたJ-STAGEから検索をして文献を紹介して頂きました。古くは1965年、自律神経雑誌に糖尿病における鍼灸治療の臨床報告が最初であり、1978年には黒野らが日本内分泌学会雑誌に、鍼刺激がラットに及ぼす効果を超微形態学的に報告していることを教えて頂きました。そして、他の基礎研究・臨床研究・症例検討を紹介され、鍼治療が血糖値に影響を及ぼす効果として、鍼刺激がインスリン分泌能やインスリン抵抗性を高めることが推察されることを報告して頂きました。

 

 

高橋 清吾 先生
高橋 清吾 先生

4)生活習慣病に対する症例報告及び症例検討

「肝実とストレス」

愛知漢方鍼医会代表 高橋 清吾 先生

体の臓器は毛細血管でできており、その毛細血管は何に作用されるかを考えた時、鍼を体に刺入すれば物理作用でフィードバックにより体の機能を調節する。その機能の回復を脉で判定し、その脉状を見て予後も判断ができることを教えて頂きました。体の臓器の不調は、十二系統の経絡の流れが悪くなると自律神経に影響を及ぼし、さらに長期にストレス(怒りや暴飲暴食)にさらされると肝の阻泄が起こる。その代表的な病状が「肝実」であり、鍼刺激を行うことにより関係する経絡を整えて、血流、リンパ液の流れを改善して病状を治すことを教えて頂きました。

 

早川和浩 先生
早川和浩 先生

5)鍼灸学校学生向け企画

スポーツ傷害に対する鍼治療

「スポーツ傷害治療に必要な鍼先感覚part2」

早川治療院 院長

早川 和浩 先生

スポーツ鍼は痛いところに鍼を刺す。どの部位に鍼を刺すか、筋か腱か、さらにどの部位が炎症部位なのかを見極めて、鍼の刺入方向に気をつけ、押手を強く鍼を直刺で送り込むことができるように訓練をする。さらに鍼先の感覚をどのように訓練をしたらいいか、それは自分自身で膝の靭帯や大腿部に鍼を刺入し、鍼先が何処に当たっているかを感覚的に覚えることが必要であることを教えて頂きました。最後に、軽度のスポーツ傷害でも鍼灸師が鍼で治せるように、今後勉強をしてほしいとのお話がありました。