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第293回定例講習会

日時:平成31年2月3日(日) AM9:30~PM4:00

会場:名古屋市立大学病棟・中央診療棟3F大ホール

内容

藤井 徹 先生
藤井 徹 先生

1) 糖尿病の基礎と臨床 (公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座

社会医療法人八千代病院 内分泌代謝内科部長  藤井 徹 先生

これからの糖尿病治療について、HbA1cを下げ過ぎると低血糖が起こり、心・腎・脳(動脈硬化)の疾患を引き起こす。2018年の欧米の糖尿病学会では、病態をしっかり把握して、生活環境を見直すことが必要であることを提唱している。日本でもサルコペニアなどに関連して、平均年齢、健康寿命を考えながら、糖尿病患者の治療を勧めている。さらに糖尿病診断基準のHbA1c6.5%以上、空腹時血糖値110mg/d以上を重視し、生活習慣を改善させることを国民に広く浸透させる働きをしている。これを強く推し進めることにより、30年後には日本の糖尿病発症率を半分に減らすという。以上のことがらをスライドでわかりやすく、糖尿病治療の最新情報を教えて頂きました。

 

 

岩瀬 敏 先生
岩瀬 敏 先生

2)基礎生理学 (公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座

愛知医科大学医学部生理学講座教授 岩瀬 敏 先生

脳神経の舌咽神経、迷走神経、副神経、舌下神経のお話しをしていただきました。舌咽神経は、嚥下反射(飲み込む動作)を支配し上咽頭の感覚を中枢に伝える。嚥下反射のメカニズムをスライドで教えて頂きました。迷走神経は広く下咽頭から結腸の脾曲(左上腹部)まで支配し、内臓の副交感神経性支配を行う。迷走神経は副交感神経線維の75%であり、排尿・排便などを司る。副神経は脊髄神経の仲間で胸鎖乳突筋や僧帽筋を支配する。舌下神経は純粋の体性運動神経で3つの筋節で舌を形成し、舌の動きを支配する。以上のことを、解剖、場所、働きなどをスライドでわかりやすく説明をしていただきました。

 

山田 篤 先生
山田 篤 先生

3)生活習慣病の基礎・臨床、診断と治療

(公社)生体制御学会研究部生活習慣病班班長 山田 篤 先生

今回は糖尿病の血糖降下剤についてお話がありました。薬剤での治療が必要とされるときは、診断時,血糖値が高く糖毒性を除く必要があるときと判断されたときである。現在7種類ある

が、それぞれの種類、特徴、使用目的、主な作用や副作用などをスライドで用いてわかりやすく説明をしていただきました。

 

 

 

山田 篤 先生
山田 篤 先生

4)生活習慣病に対する症例報告及び症例検討

「糖尿病に対する鍼治療の検討」

(公社)生体制御学会研究部生活習慣病班班長  山田 篤 先生

HbA1cが6.0%前後と安定しているが、肋骨を骨折したのを境に、易疲労感、根気がない等の不定愁訴を訴え、さらに食欲も減り、体重減少した糖尿病患者に対して43回の生体の統合的制御機構の活性化を目的とした鍼治療(生体制御療法)を行いました。治療回数22回目では不定愁訴指数初診時20点が10点、糖尿病自覚点数8点から2点に減少しました。また、糖尿病の治療薬も血糖コントロールが安定のまま減薬でき、毎日を元気に過ごせるようになった報告をしていただきました。

 

早川和浩 先生
早川和浩 先生

5)鍼灸学校学生向け企画

スポーツ傷害に対する鍼治療

「スポーツ傷害治療に必要な鍼先感覚part1」

早川治療院院長 早川 和浩 先生

スポーツの現場では急性期において、疼痛部位に鍼治療をすることにより疼痛の軽減が期待できる。基本的なスポーツ鍼は疼痛部位に直接鍼先を当てるようにするのが必要である。少し強めの押手で損傷した部位の皮膚周囲や圧痛点に、浅く散鍼して緊張を取り、刺入した鍼をゆっくりと送り込んで、鍼先を損傷部位までにもっていく。スポーツ鍼で一番大切なのは、鍼先の感覚を確かめる。鍼の感覚は、筋肉。筋膜・骨膜・骨・靭帯・腱・軟骨・半月板などを経験的に得ることが必要である。まず、自分で鍼をうち感覚を得ることが大事であることを教えて頂きました。

最後に足の肉離れの鍼治療の実技を見せていただきました。