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ABIについて

平成24年3月号

(社)生体制御学会会長

中 村 弘 典

 

 平成19年8月まで「研究班紹介」と題して研究班の班長の先生より研究班の紹介を頂いておりましたが、9月より、メディアの医療情報の中で研究班に関係する記事がありましたら各班長にコメントを頂き、日頃の臨床に役立てて頂く目的で「生体制御学会NEWS」を発信させて頂きます。

 今回は「ABIについて」の重要性について』について、生体制御学会研究部循環器疾患班班長の服部輝男先生に以下のように解説して頂きました。

 

 

ABIについて

 

生体制御学会研究部 循環器疾患班班長

服部 輝男

 

 鍼灸院に患者が来院した場合、初診時に血圧測定を行う先生がほとんどであると思っています。最近では電子血圧計の普及で簡便に測定することが可能となりましたが、両側同時に血圧を測定される先生は少ないと思います。しかし、初診来院時に血圧の左右差がある患者が少数ですが存在することも事実です(この血圧の左右差については平成23年9月号で報告いたしました)。今回はさらに進めて足首と上腕の血圧測定について考えてみたいと思います。

 足首と上腕の血圧比ABI(Ankle Brachial Pressure Index )は、足首と上腕の血圧を同時に測定し、その比率を計算したものです。

具体的には、足首と上腕の血圧を同時に測定し、その比率を求めることで特に大動脈や足の動脈など比較的太い血管の動脈硬化の進行程度、血管の狭窄や閉塞などの病変が推定できると言われています。

 動脈硬化が進んでいない場合は横になった状態で、足首と上腕の血圧を測定すると足首のほうがやや高い値を示し、動脈に狭窄や閉塞があるとその部分の血圧は低下します。

 計算式と基準値を示しておきます。

 

計算式  ABI=(足首の最高血圧)÷(上腕の最高血圧)

ABI基準値(ACC/AHA〈米国心臓学会〉2005年診断基準に準拠)

1.30≦ABI 足首の血圧高めです
1.00≦ABI≦1.29 正常範囲です
0.91≦ABI≦0.99 正常範囲ですが境界領域です
0.41≦ABI≦0.90

軽~中程度の閉塞

または狭窄の可能性があります

ABI≦0.40

重度の閉塞

または狭窄の可能性があります

文献

http://www.akanekai.jp/abi.htm

http://was.fukuda.co.jp/medical/products/products_pickup/vasera/abi.html

http://medical-checkup.info/article/56962632.html