日時:平成23年7月3日 午前9時30分~午後3時
場所:名古屋市立大学医学部教育棟2F 第1講義室
内容
1)「臨床鍼灸医学研究」サイエンスとしての鍼灸医学3 (認定指定研修C講座)
(社)生体制御学会理事・名誉会長 黒野保三先生
①鍼灸医学、東洋医学、統合医療などに数年前までみられた期待されるようなことがなくなった現状を説明いただいた。
②鍼灸医学などには実体のない言葉が横行しており、裏付けがなく形がないものがいつまでも信用されるわけではなく、一歩ずつでも着実な証拠の積み上げが必要であることを説かれた。
③サイエンスとして鍼灸医学をなりたたせるためには、正しい情報に基づいたものでなければならず正しい学問場所の必要性を説かれました。
(内容紹介)
今年度最初の講習会ですが、昨年までと一変したことがあります。それは、鍼灸医学、東洋医学、統合医療などと言う人がいなくなったことです。このことから鍼灸の立つ位置について示唆いただきました。
「昨日、日野原重明先生のご講演を聞く機会がありました。以前からチーム医療の大切さを説き、これからのチーム医療は医師や看護師などの医療従事者だけではなく患者の家族を含めたすべての人々が関わることを説いております。2年前まではこのお話をされるときにチームの中に東洋医学という言葉や東洋医学に従事する医療関係者についても含まれていましたが、今回は、はずされていました。では何故はずされたのでしょう?この答えは誰かが東洋医学をはずしたのではなく、我々東洋医学に関与する者が努力しなかったことに他なりません。
私は50年前に鍼麻酔がブームになったとき、中国との国交回復後初めて、中国から医師団を招聘し、また、東西両医学の協調を目的とした日本鍼灸医学会を立ち上げ、(社)全日本鍼灸学会を設立し、その地方会として愛知地方会で講習を行ってきました。そして、その事業が継続され、現在の生体制御学会があります。この学会の特徴は、必ず裏づけのある研究を基にすべてのことを行うということです。その研究結果には嘘偽りがありませんので、すべての実績が積み上げられていきます。つまり、この生体制御学会は言葉だけが独り歩きすることはありません。
それに反して一般の世間では東洋医学の言葉だけが実体のないまま独り歩きをしております。そして、東洋医学に期待して過去にこの言葉を使っていた人たちは、その実体がないことから呆れられてしまったのではないでしょうか。このままでは、先はありません。正しい情報は必ず裏づけがあることを知らなければいけませんし、その発信を行う信頼ある学会にならなければなりません。 また、逆に多くの情報から正しいものと正しくないものを取捨選択する必要があります。それには、正しい場所での勉強しかありません。」と教えて頂きました。
次に「サイエンスとしての鍼灸医学」のお話をいただき、この中でも、「筋膜上圧刺激」という鍼治療の方法を提唱され、論文として投稿され、アクセプトされ掲載されました。この一つのことを証明し、発信するにもその裏づけの研究や論文がたくさん必要であることが示めされ、この学会がもつ価値を示していただきました。
2)自己免疫疾患とリウマチ性疾患について
名古屋市立大学大学院医学研究科細胞分子生物学 教授 岡本 尚先生
「リウマチ・自己免疫疾患はどのような病気か?その発症の分子機構は何か?」と題し、スライドを使用し最新情報を交えて病態やその発症機序について詳細な説明がなされた。
3)生体防御免疫疾患の基礎・臨床、診断と治療
(社)生体制御学会研究部生体防御免疫疾患班長 井島晴彦先生
「顆粒球とリンパ球」と題し、スライドを使用し詳細な説明がなされた。
4)生体防御免疫疾患に対する症例報告・検討
経絡治療学会東海支部支部長 坂本 幹男先生
「生体防御免疫と経絡治療」と題して症例検討が行われ、活発な質疑応答があった。
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