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第248回定例講習会

日時:平成22年10月3日  午前9時30分~午後3時

場所:名古屋市立大学医学部教育棟2F 第1講義室

☆午前9時15分~9時30分 第15回愛知県鍼灸生涯研修会開講式が行われた。

内容

1)「臨床鍼灸医学研究」(認定指定研修C講座)

(社)生体調整機構制御学会理事・名誉会長  黒野保三先生

①(社)全日本鍼灸学会大阪大会において生体調整機構制御学会からの演題数が非常に多く、また基礎研究のうえに臨床研究をおこなっている現状から、その価値と将来性について説明がなされた。

②8月に行われる第28回生体調整機構制御学会にその成果の一端として、シンポジウムが企画されている旨について説明があった。

③再生医学の最新ニュースについてビデオを使用し説明がなされた。

(内容紹介)

 6月11日~13日に行われた第59回(社)全日本鍼灸学会学術大会(大阪大会)から得た情報から、以下の示唆に富んだお話を頂きました。

 「鍼治療を行いますと、摩訶不思議な反応や良い現象に出会うことは多々ありますが、何故このような結果がでるのかは、ほとんど解っていないのが現状です。

 今回、大阪大会では「統合医療と鍼灸」というテーマで開催されました。ここでいう統合医療は何かというと、近代医学と近代医学以外の医療とで患者さんを治療していくことです。この言葉だけをとらえると何も問題がないように感じます。また、同様な言葉として全人的医療とか未病治という言葉が最近語られています。どの部分が同様なのかといいますと、これらの言葉は概念でしかないのです。概念というのは考え方であり、そのものに実体はありません。

 今回の大阪大会で、鍼灸医学・鍼灸治療が発展していくためには、鍼灸師だけが使っている言葉ではだめで、すべての医療に携わる人が理解できる共通の言葉となり、レベルも共通にならなければ、本当の意味での統合医療ができないという講演がありました。つまり、まるであるが如きの検討ではだめだということです。鍼灸師の中には「伝統や経験があるから」ということもよく聞きますが、現在の鍼灸界は特に学校を卒業してからの教育が不十分であるため、経験医学としての鍼灸治療自体があってもその個人の経験にはならないことも事実であります。

 そこで、先程の話を併せて考えますと、鍼灸医学・鍼灸治療というものが実体のある形で証明され、近代医学と鍼灸診療が共通の土俵で評価されなければならないということになります。この生体調整機構制御学会では、この証明を着々とおこなっています。実際に今年の大阪大会では、明治国際医療大学の演題数に続き、生体調整機構制御学会が2番目の演題数でありました。また、基礎研究にのっとって臨床を行うことが重要であることも示唆され、あるが如きの話しではなく、鍼の本当の有効性について一歩一歩証拠を示していくことが重要であると改めてわかりました。その集大成の一つとして、今年の8月に行われる第28回生体調整機構制御学会学術集会ではシンポジウムを予定しています。その中で、実際の証拠がここにあり、証拠に基づいて行う治療に価値があることを報告していきます。」

 また、再生医学のニュースなどのビデオを用いて、本当に証明していくということの基礎研究や学問というものを示し、鍼灸界の将来に示唆を与えて頂きました。

2)「西洋医学における診断理論」

名古屋第二赤十字病院 救急・総合内科部長 野口善令先生

「-医師はどうやって診断しているのか-」と題し、スライドを使用し最新情報を交えて診断理論について詳細な説明がなされた。

3)「生体防御免疫疾患の基礎・臨床、診断と治療」

(社)生体機構制御学会研究部生体防御免疫疾患班班長  井島晴彦 先生

「生体防御免疫疾患の基礎・臨床、診断と治療」と題し、鍼灸医学における免疫研究の歴史について、名誉会長黒野保三先生の業績を用いて詳細な説明がなされた。

4)生体防御免疫疾患に対する症例報告・検討

経絡治療学会東海支部長 坂本幹男 先生

「生体防御免疫と経絡治療」と題して症例検討が行われ、活発な質疑応答があった。