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鍼灸院における糖尿病患者の実態調査(大阪大会)

東洋医学研究所®グループ

中村弘典、石神龍代、服部輝男、河瀬美之、皆川宗徳、山田 篤、井島晴彦、迫井 豪

すこやか鍼灸院

校條由紀

やまもと鍼灸院

山本健太郎

東洋医学研究所®

黒野保三

 

【目的】

生活習慣病班では、過去(社)全日本鍼灸学会において、糖尿病動物による基礎的研究及び臨床研究としての糖尿病患者の症例報告をしてきた。しかし、糖尿病患者が訴える多くの症状の中で、臨床鍼灸の現場で得られる効果的な現象は全く検証されていないのが現状である。

そこで、生活習慣病班では、生活習慣病に対する鍼治療の効果を根本的に研究するためには、まず治療院における水際の実態調査を行うことが大切であることから、「治療院に来院した糖尿病患者の実態調査」を行った。

【調査方法】

対象は平成20年6月~平成21年5月迄の1年間に10施設に来院した糖尿病患者(新患及び再診患者)57名(男性29名、女性28名)で、調査内容は年齢・性別・体重・主訴・血糖値及びHbA1c・西洋医学的治療状況・糖尿病カルテ重症度判定・自覚症状点数の推移及び効果判定についておこなった。

【結果】平均年齢は、男性62.7歳、女性66.0歳で、年齢が60歳未満では男性が多く、60歳以上では女性が多かった。主訴は、糖尿病、腰下肢痛、首肩痛、倦怠感の順であった。

血糖コントロール状態については、不良が50%と最も多く、西洋医学的治療状況については、半数以上が薬物療法を併用していた。また、糖尿病カルテ重症度判定については、軽症が78%、中等症が22%で、効果判定については、11%が著効、39%が有効、22%が比較的有効、28%がやや有効で全ての症例で改善がみられ有意な差が認められた(P<0.01)。

【考察・結語】

今回、糖尿病患者の実態調査を行った結果、糖尿病カルテ重症度判定において軽症が多く、糖尿病合併症予防の面から鍼灸院における生活指導の重要性が再確認された。また、鍼灸院のみの調査では、検査項目などの集積に限界があった。

今後は医療機関との共同研究を行い、鍼治療の有効性を検討すると共に、近年社会問題となっている医療経済的にも薬物療法に加え、鍼治療を併用することの利点を見出すことの必要性が示唆された。

 

キーワード:生活習慣病、糖尿病、糖尿病カルテ、血糖値、HbA1c