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鍼灸院における来院患者の実態調査(大阪大会)

東洋医学研究所®グループ1)  東洋医学研究所®2)

アジヤ鍼灸院3)  すこやか鍼灸院4) やまもと鍼灸院5)

近藤利夫1)、石神龍代1)、中村弘典1)、山田 耕1)、河瀬美之1)

服部輝男1)、甲田久士1)、狩野義広1)、皆川宗徳1)、田中良和1)

海沼英祐1)、福田裕康1)、井島晴彦1)、水野高広1)、山田 篤1)

加納俊弘1)、迫井 豪1)、後藤博文3)、校條由紀4)、内藤真次1)

山本健太郎5)、黒野保三2)

                      

【目的】

医療の水際での鍼灸診療の実態を調査する目的で、鍼灸院における来院患者の初診時に(社)全日本鍼灸学会研究委員会不定愁訴班黒野保三班長作成の不定愁訴カルテを使用して検討したところ興味ある結果が得られたので報告する。

【方法】

2009年1月から5月末日までに21鍼灸院を訪れた新患及び再診患者(3ヶ月以上間が開いた患者)を対象に、性別、年齢分布、主訴、自覚症状、不定愁訴カルテ(健康チェック表)の調査を行った。

【結果】

対象患者は637名(男性265名、女性372名)、平均年齢50歳(最小年齢0歳、最高年齢94歳)、主訴・自覚症状は、多い順では腰の痛み、肩の痛み、肩のこり、頚の痛み、膝の痛み、上肢の痛みと続いていた。健康チェック表の記載があった434名(男性171名、女性263名)の重症度は、軽症45.0%、中等症28.1%、重症6.4%、除外20.5%であった。層別分類では、自律神経失調性項目24.2%、神経症性項目18.0%、うつ状態性項目25.6%、その他の項目32.2%であった。健康チェック表項目別記入率は、高い順に(43)肩や首筋がこる、(44)腰や背中が痛くなる、(30)目がつかれる、(29)自分の健康のことが気になる、(8)手足が冷える、(5)下痢、あるいは便秘をする、(10)仕事をするとつかれてぐったりする、(25)頭重や頭痛がある、(45)手足に痛みやシビレがある、(9)足がだるいであった。

【考察・結語】

今回の実態調査では患者の男女比は1:1.4であり、年齢は30歳代から70歳代が多く、主訴は痛みに関することが多いことがわかった。また、健康チェック表を使用することによって、より詳細に患者の健康状態を把握できることがわかった。

今後も来院患者の診断と鍼灸治療の効果を定量的に把握するために不定愁訴カルテを活用していきたい。

 

キーワード:実態調査、主訴、自覚症状、不定愁訴カルテ、健康チェック表