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第245回定例講習会

日時:平成22年2月7日  午前10時30分~午後4時

場所:名古屋市立大学医学部教育棟2F 第1講義室

内容

1)不定愁訴とは何か(認定指定研修C講座)

たけうち心療内科院長 竹内 聡 先生

「④治療上の注意点」と題しスライドを使用し、不定愁訴を治療する上での注意点について例を示され詳細な説明があった。

2)臨床鍼灸医学研究

(社)生体調整機構制御学会代表理事   黒野保三 先生

「再生医学についてⅧ」

変革する医療の現状について多数の報道資料をもとに詳細な説明がなされた。

統合医療の科学的検証の重要性についてスライドを使用し詳細な説明がなされた。

(内容紹介)

 何十年来と続いてきた状況が昨年から変わってきています。世界の情勢や日本の政治社会、医療界も変わろうとしております。そして、鍼灸界に当然変化がくる時代をふまえているというお話がありました。

 「これからここで話すことには、前提条件があります。この前提条件がなければ理解できないし、意味がないことになります。60年来言い続けてきたことに、鍼灸師は鍼灸医師であるという自覚を持ち、それを言えるだけの人間性や知識を持ち続けるために勉強をしなければなりません。鍼灸を医療として行うためには当然のことであると考えます。例えば、昨今、新聞上で医師の研修医がアルバイトで診療していることについて取り上げられました。研修医ですからもちろん医師免許もあるわけですが、これほど問題となるわけです。一方、鍼灸師は学生時代にアルバイトが本業かというぐらいで国家試験に受かるだけでよいとか、卒業したらすぐ開業するとかということをよく聞きます。つまり、これほどの格差があるわけです。これほど格差がある鍼灸師と医師が将来、統合医療を一緒にやっていこうとしたら現時点では無理といわれても当然となります。

 このような現状の中で、鍼灸関係の重鎮達の意見である昨年の大阪での鍼治療による死亡事故が鍼灸師でなかったから関係ないとか、厚生労働省が効果を検証するという対象が最初サプリメントから始めたから鍼灸には関係ないとか、いかにも他人事のような意見には本当に心を痛めます。

 昨日(2月6日)には統合医療の科学的検証として厚生労働省が鍼灸を含む統合医療を調査検討することがニュースで流れました。まさにずっといってきたようにきちんとした仕分けがなされることが現実となってきました。今日の話の最初で鍼灸を医療として行うために努力し勉強してきた人達に問題はありませんが、勉強もせず質の向上を望めないようでは先はありません。

 現状を踏まえ質の向上を行うには確かな場所で勉強し、客観的な認識に立って情報を正しく理解する必要があります。確かな場所で勉強するということは今までやった実績を国が認め修了証などを発行できることも、個々の実績の証拠となり、今後の鍼灸界では大きな力となることに間違いがありません。」と警鐘をならして頂きました。

 医学は再生医学など日進月歩で進化していますが、鍼灸は何千年続いたからいいとうことが横行しております。ここでは特にこれから鍼灸界を支えていく若い人達への指針を与えて頂きましたが、まだまだ伝え切れていない膨大な情報がありますので、次回に後半として引き続きご講演頂けることになりました。特に学生さんには大変な指針となりますので、次回の講演には参加するだけの価値あるお話しを頂けることも示して頂けました。

3)不定愁訴に対する基礎・臨床、診断と治療

(社)生体調整機構制御学会研究部不定愁訴班班長 石神龍代 先生

「睡眠障害について」と題し、資料が配布された資料に基づいて詳細な説明がなされた。

4)不定愁訴に対する症例報告及び症例検討

臨床鍼灸医学研究会会員 水野高広 先生

「不定愁訴に対する鍼治療の検討―産後の体調不良から来る不定愁訴に対する鍼治療の一症例―」と題して症例検討が行われ、活発な質疑応答があった。