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第242回定例講習会

日時:平成21年7月5日  午前10時30分~午後4時

場所:名古屋市立大学医学部教育棟2F 第1講義室

午前10時15分~10時30分 第14回愛知県鍼灸生涯研修会開講式が行われた。

内容

1)不定愁訴とは何か

たけうち心療内科院長 竹内 聡 先生

「①精神医学的理解」と題しスライドを使用し最新情報を交えて精神医学について詳細な説明があった。

2)臨床鍼灸医学研究(認定指定研修C講座)

(社)生体調整機構制御学会代表理事   黒野保三 先生

「再生医学についてⅤ」

 

最近の医療環境を話され、地域医療に貢献できるのは医師と鍼灸師であるが鍼灸師が全く入っていないのは、いかに鍼灸師が勉強していないかを物語っているとの説明がなされた。

生体調整機構制御学会発足の経緯とその内容について解説され、鍼灸師においては50年100年先を見据えた学会となるよう説明があった。

再生医学についてスライドを使用し、詳細な説明がなされた。

(内容紹介)

 4月5日に一般社団法人生体機構制御学会の設立総会が開催されました。そのことについて、現在の医療情勢を交えながらお話いただきました。

 「一般社団法人生体機構制御学会という学会は、組織の再編成により社団法人全日本鍼灸学会愛知地方会、社団法人全日本鍼灸学会東海支部の廃止により、継続的な研究と教育を目的として設立された組織です。しかしながら、鍼灸という名称が入っていないということを言われる方があります。本来なら鍼灸という言葉が入っているべきでしょうが、残念ながら現在の医療界では、入れることができないのです。

 なぜなら、その答えとして鍼灸は市民権を得ていないという一言に尽きます。昨年統合医療学会が設立され、認定を行なおうとした時、看護師や理学療法士などの国家資格がある職種はその職種であるだけでも受験資格が与えられました。しかし、鍼灸師はどうでしょうか。鍼灸師という国家資格だけでは認定の受験資格が与えられず、社団法人全日本鍼灸学会の認定を取得している者だけ統合医療学会の認定の受験資格が与えられたのです。その数は何万という鍼灸師がいる中でわずか600名程度となるわけです。つまり、鍼灸師の信用はその程度ということになります。

 国の医療政策により、医師不足が叫ばれ、特に地域医療が崩壊しつつある中で、本来なら種々の疾患を診療している鍼灸師が注目されるはずです。

 そこで、鍼灸は現実、臨床の現場に立ち、医療の水際にいます。この水際で行なっていることを着実に積み上げその後に集学的研究をし、50年100年先を見越した学会にしていきます。今こそ医の原点にかえって、一から積み上げたものこそ、これからの鍼灸の基礎になるからです。そして、そのように行った基礎なら堂々と他の分野に対しても協力できる学会となるはずです。そこに一般社団法人生体調整機構制御学会と名づけた理由があります。」と教えて頂きました。

 続いて再生医学について講義を頂きました。細胞死におけるアポトーシスと壊死との違いを説明頂きました。「アポトーシスのプログラム死といわれている機構は、身体の各部での期間が違うものの、すべての場所で行なわれています。この機構に対して、免疫細胞の関与が示されるなど、新しい研究結果が示されてきました。特に鍼灸と免疫機構の研究を行なってきた経験から、その内容から考えますとアポトーシスと鍼灸の関係も明らかに出来る可能性があります。

 再度繰り返しになりますが、このように一般社団法人生体調整機構制御学会では水際の臨床の現場で基礎研究の根拠も示し集学的に研究し協力していくことが、将来の目的であります。」と教えて頂きました。

3)不定愁訴に対する基礎・臨床、診断と治療

(社)生体調整機構制御学会研究部不定愁訴班班長 石神龍代 先生

「ストレス応答と生体調節系」と題し資料をもとに詳細な説明がなされた。

4)不定愁訴に対する症例報告及び症例検討

経絡治療学会東海支部長 坂本幹男 先生

「不定愁訴と経絡治療」と題して症例検討が行われ、活発な質疑応答があった。