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第240回定例講習会

日時:平成21年3月1日  午前9時30分~午後4時

場所:名古屋市立大学医学部研究棟11F A講義室

第241回定例講習会(4月5日)に於いて一般社団法人生体調整機構制御学会の設立記念講演が行われ、後に設立総会が開催される旨の案内があった。さらに東洋療法試験財団より授与された表彰状が授与された。

内容

1)臨床鍼灸医学研究

(社)全日本鍼灸学会参与   愛知地方会名誉会長  黒野保三 先生

「再生医学についてⅣ」

愛知地方会の成り立ちにについて時系列に説明があり、後継の(社)生体調整機構制御学会の考え方について説明がなされた。

鍼治療の効果について説明があり、恒常性維持、免疫、自然治癒力など全ての機構を鍼灸によって調整制御するために生体調整機構制御学会という名称になった旨の説明がなされた。

生体調整機構制御学会とは学際的に集うものであるため、鍼灸という名称が省かれた旨の説明がなされた。

最近の経済状況について解説された後、新聞報道が示され、愛知医大の寄付講座である痛み学講座がピンチである旨の報告が紹介された。

再生医学についてスライドを使用し、詳細な説明がなされた。

(内容紹介)

  (社)全日本鍼灸学会愛知地方会は、1972年に発足してから、全国の(社)全日本鍼灸学会の地方会の中心をなしてきました。この地方会が本部の組織再編によってなくなることが決まりました。そのことについてと、今後の展望についてお話を頂きました。
「地方会がなくなるということで、(社)全日本鍼灸学会愛知地方会という名称は使うことができなくなりました。 そこで、百年を見据えた名前で、鍼灸治療が医療の一つであることを目標に一般社団法人生体調整機構制御学会という名称にすることにしました。これは本日行われる愛知地方会の常任幹事会で愛知地方会を解散し、新しい会の理事会への移行を予定しております。
 そこでもう一度、鍼灸治療を行うということはどういうことかと考えてみます。鍼灸治療は恒常性維持機構(ホメオスターシス)、免疫機構、自然治癒力機構を高めていく治療です。また精神的には癒しを行うという機構もあります。これらの機構を調整するのは何も鍼灸治療だけではありませんが、現在のところ鍼灸治療の得意分野であることも事実です。このような生体調整機構をあらゆる角度から研究していこうということが主旨です。当然、鍼灸という言葉をいれたらどうだという意見もいただきましたが、鍼灸だけを行っている人でしか分からない言葉での会は学会にはなりえず、勉強会になってしまいます。それでは、世間にアピールもできませんし、忘れ去られます。
 一つの例として2月26日の新聞に愛知医科大学に設置されている痛み学講座の存続の危機についてのニュースがありました。この痛み学講座は全国にはここだけにしかなく、最近においては慢性疼痛の疾患モデル動物の完成など期待された講座でした。また、そのような疾患に対する理学療法士の教育の場がなくなるという記事でした。講座がなくなる可能性があることは当然悲しいことですが、この新聞記事のなかでは理学療法士のことは書いてあっても鍼灸師のことは一言も書いてありません。慢性疼痛に関する治療は鍼灸の得意分野の一つであるはずですが、世間での認識はこの程度であるということなります。
 以上のことを考えてみても、世間から高度な位置付けをされるためには、高度な医療を提供しなければならなく、勉強は欠かすことができないということになります。また、外に向けて発信するためには、仲間以外のところにもアピールしていかなければならないということも明らかです。この生体調整機構制御学会には以上の意味が含まれています。オープンな学会ですので、是非とも参加していただきたいと思います。」と説明頂きました。
 続いて再生医学について講義を頂きました。再生の周期やクローンの原理について説明がありました。一見関係ないような再生医学は非常に鍼灸に関係があること、また直接関係がないと思われる多種にわたる情報も、正確に理解することが必要であると説かれました。この正確に理解することが柔軟な発想の基ともなることを教えて頂き、生体調整機構制御学会の価値を再度説かれました。

2)不定愁訴への対応(支部指定研修B講座)

たけうち心療内科院長 竹内 聡 先生

「⑤治療上の工夫」と題し、治療上の考え方や工夫について詳細な説明がなされた。

3)不定愁訴に対する基礎・臨床、診断と治療

愛知地方会研究部不定愁訴班班員  吉田昌弘 先生

「東洋医学研究所における健康チェック表について -新患とホームページの比較検討-」と題し来院患者(新患)とホームページ上の健康チェック表の記載項目の違いについて報告があった。

4)ホームページ作成について

愛知地方会幹事  中村 覚 先生

定例講習会参加会員のホームページが作成され会員紹介ページにアップされた。

5)不定愁訴に対する症例報告及び症例検討 

愛知漢方はり医会代表  高橋清吾 先生

「肝実証における不定愁訴」と題し資料をもとに症例報告が行われ、質疑応答があった。