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日々研鑽の必要性

平成21年1月号

生体制御学会ホームページ委員長

河 瀬 美 之

 

 平成19年8月まで「研究班紹介」と題して研究班の班長の先生より研究班の紹介を頂いておりましたが、9月より、メディアの医療情報の中で研究班に関係する記事がありましたら各班長にコメントを頂き、日頃の臨床に役立てて頂く目的で「生体制御学会NEWS」を発信させて頂きます。

 今回は『日々研鑽の必要性』と題して、生体制御学会研究部循環器疾患班班長の服部輝男先生に以下のように解説して頂きました。

 

日々研鑽の必要性

 

生体制御学会研究部 循環器疾患班班長

服部 輝男

 

   一般社団法人 生体制御学会定例講習会に参加して驚くことは、黒野保三先生の講義の内容の新しさです。医療に関する最新情報を提示され説明していただけます。しかし、その最新情報も自分のものとして活用しなければ役に立ちません。それを十分活用するためには常に技術、技能の研鑽を行い、自分自身の診療能力を高めておく必要があります。

 日々の診療に追われ、ともすれば自分自身の診察能力や技術、技能の低下に気づかずにいる場合がよくあると思います。

 そのため、生体制御学会研究部循環器疾患班では、班員の先生方の血圧測定能力(水銀式血圧計、アネロイド式血圧計を用いる)、循環器疾患に関する情報収集実技を聴診器を用いて行い、毎日の診療に役立つ訓練を行っています。

 最近は自動血圧計を用いて血圧測定を行うことが多くなっていますが、これでは血圧値(最高血圧と最低血圧)と心拍数の程度しか把握することはできませんが、聴診法で行う血圧測定では、重要な情報をもたらせてくれます。

 聴診法で行う血圧測定はコロトコフ音の第1音から第5音までを聞き分け、さらにトントンという音と明らかな第2音の雑音は十分な心拍出量と血流が確保されていることを示しています。しかし、心拍出量が減少している時は、トントンという音の強さは減弱し、第2音の雑音の持続も短くなります。また第5音が存在しないこと、つまり第4音から0mmHgまでコロトコフ音を聴取できる状態があり、これはいろいろな病態の存在が予想されます。このような状態における病態などについても学習しております。

 このように、自分自身の五感と、技術、技能を十分に活用し、最先端の情報を得て、研究活動に当たっています。

 

引用文献

 栃久保修:血圧の測定法と臨床評価 メディカルトリビューン 1988