日時:平成20年11月2日 午前9時30分~午後4時30分
場所:名古屋市立大学医学部研究棟11F A講義室
内容
1)臨床鍼灸医学研究
(社)全日本鍼灸学会参与 愛知地方会名誉会長 黒野保三 先生
「再生医学についてⅡ」
日本未病システム学会の内容は我々の鍼灸治療の内容である旨の報告があった。
最近の医師不足といわれる問題について説明があり、鍼灸師のあり方と状況について詳細な説明があった。
ゴルフを通して技術と技能についての説明があり、人間の真の成長は師匠と弟子との関係が最も重要である旨の説明がなされた。
真実を本当に知るということの重要性について説明され、人には規範―規律が必要であり、うわさで人を判断すべきでない旨の説明がなされた。
学問の基本とは何かを説かれ、再生医学についてスライドで皮膚を示され、今後の展開について説明がなされた。その後皮膚生理の最新報告が米山徹子先生より説明された。
(内容紹介)
先月のこの会で、未病システム学会から鍼灸がはずされていることを説明していただきました。そして、その現況から現在おかれている状態を説いていただきました。
「現在、未病システム学会が開催されていますが、そのポスターや講演要旨を見てみますといろいろなことが書いてありますが、これはもともと鍼灸師であればすべて知っていることであります。その専門領域である鍼灸師がその専門ではずされているという現実を認識しなければなりません。自分達の職種が他からどのように評価されているかということを知っていなければなりません。
最近、医師不足が言われていますが、本当に数が足らないのではなく、偏っていることが明らかになっています。医療過誤が起こるのは人が少ないことが原因とされていますが、基本的にはチェック機構が崩壊してきているからです。つまり医局制度の崩壊による師弟関係の崩壊が原因といえるのではないでしょうか。これは医師だけの問題ではなく、鍼灸師の方がもっと問題となっています。鍼灸には明確な基準がありません。ということは自分のレベルによってしか自分を評価できないということです。体を診るレベルに達していなければ治療して治っても偶然の結果論だということです。体が診えるか診えないかが第一であり、知識が増えるだけでは、現場の臨床では役に立たないということです。私は43年前に想定したのが、医療崩壊も想定できましたので、地域医療の一端を担うのが鍼灸師になるべきだろうという思いで、鍼灸師の勉強会としての地方会を立ち上げたのです。しかし、現状の鍼灸師のレベルは理想とはかけ離れ、世間から見放される現状になっています。
やはり、自分のレベルだけで判断することは困難であり、師匠と師弟関係の人間関係を持つことによって高いレベルからチェックしてもらえ、常に緊張感を持つことから成長する、というあたりまえのことが普通にならなければなりません。
レベルが違えば同じ情報をもらっても正しいことがみえません。分かりやすい話をすればプロゴルファーでもプロと名はついていてもその中での差は歴然で、永久シードの資格を持つものはわずか7人しかいません。また、世界的な話をすれば、サブプライム問題を解決するために自国(アメリカ)で処理する問題を、言いがかりをつけて世界からお金を集めるということを平気で行っているということもあげられます。
つまり、新聞などの情報もわれわれが勉強していることも、すべて真実の探求が目標なのです。その前提として自分のレベルを上げるためのチェックが必要ということを再度申し上げます。」と説かれました。
次に、再生医学の基礎を話して頂きました。「特に鍼灸の研究には解剖・生理といった基礎医学が重要であり、臨床の現場でどう活かせるかということが重要です。また、知識というのはとどまってはいないので、過去の知識と現在の知識を如何に鍼灸の理論に当てはめることができるかという視点が重要になります。今回は特に表皮と再生医学について説明します。結果から申しますと、表皮は今まで重要視されていませんでしたが、表皮で感覚の受容が行える事実が証明されたことで、鍼灸の治療メカニズム解明に大きく寄与できる可能性がでてきました。このような生体の感覚に対し、刺激量の正しい質と量をコントロールできることが重要であります。」と教えて頂き、正しい情報の捉え方とその活かし方の指針を与えて頂きました。
2)不定愁訴に対する基礎・臨床、診断と治療
愛知地方会常任幹事 山田 耕 先生
「不安神経症について」と題し資料をもとに詳細な説明があった。
3)不定愁訴とは何か(支部指定研修B講座)
たけうち心療内科院長 竹内 聡 先生
「③心身医学的理解」と題し資料をもとに心身医学について詳細な説明があった。
4)ホームページ作成について
愛知地方会幹事 山田 篤 先生
定例講習会参加の愛知地方会会員各自のホームページが作成され立ち上げが実行された。
5)不定愁訴に対する症例報告及び症例検討
鍼和会会長 前川勝治 先生
「うつ病に対する鍼灸治療」と題して症例検討が行われ、活発な質疑応答があった。
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