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第237回定例講習会

日時:平成20年11月2日  午前9時30分~午後4時

場所:名古屋市立大学医学部研究棟11F A講義室

第26回東海支部学集会開催が成功裏に終了した旨報告があり、愛知地方会の先生に協力いただいたお礼が述べられた。続いて愛知地方会ホームページの第26回東海支部学術集会の動画が放映された。

内容

1)臨床鍼灸医学研究

(社)全日本鍼灸学会参与   愛知地方会名誉会長  黒野保三 先生

「再生医学についてⅠ」

太極療法の成り立ちについて詳細な説明があり、本来は「生体の統合的制御機構の活性化」が医学的名称であるが鍼灸師に理解しやすくするため太極療法と名付けた旨の説明がなされた。

日本心療内科学会には鍼灸師は含まれていない旨の報告があり、鍼灸師のレベルの低さについて例をあげられ、詳細な説明があった。

新聞報道をもとに、iPS細胞の発見を期に日本の医療関連技術保護の甘さについて詳細な説明がなされた。

また、ラットの脳細胞を使用し、障害物をよけるロボットの研究について詳細に説明され、今後の鍼灸医学の展望について説明がなされた。

再生医学について皮膚を示され今後の展開について説明がなされた。

(内容紹介)

 今年の7月まで脳科学と鍼灸医学についてお話を頂きましたが、まだ太極療法について理解をしていない人が多くいるため、このことについてお話を頂ました。

 「私は過去に病理学的徴候がなくても症状が存在するいわゆる無徴候有訴群患者に対する鍼治療の有効性を報告し、不定愁訴、糖尿病をはじめとする様々な疾患に対する鍼治療の臨床研究を報告しました。その間、基礎的研究として日本で初めて鍼治療による免疫機能の変動を1980年から6回にわたり論文報告を行いました。また、慢性肝機能障害に対する基礎的研究や臨床的研究を行い、鍼治療が肝細胞の再生に有効であることを報告しました。また、マウスの一生(2年間)を週に2回の鍼治療を行い、組織学的所見から鍼治療が老化防止に有効であることを報告しました。

 これらのことは鍼治療が生体の恒常性維持機構、免疫系維持機構、自然治癒機構を活性化させる証拠をあらわしたものです。

 近年の脳科学の進歩から私は、上記の恒常性維持機構、免疫系維持機構、自然治癒機構を制御している上位の制御系として統合的制御機構の存在を想定しており、鍼治療はこの統合的制御機構を活性化させる最善の手段であると考えています。そして統合的制御機構の活性化を目的としたのが太極療法(生体機構制御療法)であると思います。」と解説されました。

 次に、平成20年9月6日に朝日新聞の記事で柔道整復師の養成学校で無資格の教員が教えている実態が掲載されたことをふまえ、鍼灸業界も襟を正して進まないと大変なことになると述べられ、その例を以下のように述べられました。

 「日本心療内科学会に入会するための業種選択に看護師や柔整師はありますが、私達の鍼灸師という項目がないという事実があります。このことはこの学会だけではなく、日本糖尿病学会や心身医学会でも何か資格をとろうとしても鍼灸師だけがはずされています。鍼灸師の養成学校の定員割れで経営できないといった実態などから社会通念として鍼灸師は資格所有者ではないという証ではないでしょうか。

 日本医師会が総合医の認定を開始し、地域医療に貢献する幅広い医師を総合医としていますが、これは私達鍼灸師がすでに行っていることですので、このことに対して手を挙げたいですが、現在の実態からみて手を挙げられない状態なので残念です。今後は堂々と手を挙げられるように努力して頂きたいと思います。」と述べられ、最近の実態を教えて頂きました。

 また、ラットの脳細胞の信号によってロボットを動かし人間の代わりをするという研究の報告やiPS細胞の報告から、鍼灸治療に応用して役立てることができる旨の説明を頂きました。

 最後に今回からお話を頂く「再生医学について」を講義して頂きました。

「今まで、鍼灸治療の刺激の入力系は真皮が関係しているというのが一般的でした。しかし、iPS細胞の存在が明らかとなったことから表皮がクローズアップされ、再生医学とはまさしくこの部分であり、この部分に与える鍼刺激の質と量が問題になる。」というお話を頂き、鍼刺激の入力系の新たな考え方を教えて頂きました。

2)不定愁訴とは何か(支部指定研修B講座)

たけうち心療内科院長 竹内 聡 先生

「②身体医学的理解」と題し資料をもとに身体医学について詳細な説明があった。

3)不定愁訴に対する基礎・臨床、診断と治療

愛知地方会常任幹事 皆川宗徳 先生

「不定愁訴カルテ作成についての基礎的研究」と題し黒野保三愛知地方会名誉会長の論文をもとに不定愁訴カルテ作成のまでの詳細な手順の説明がなされた。

4)ホームページ作成について

愛知地方会常任幹事 井島晴彦 先生

定例講習会参加の愛知地方会会員各自のホームページが作成され立ち上げが実行された。

5)不定愁訴に対する症例報告及び症例検討 

愛知地方会研究部不定愁訴班班員 角田洋平 先生

「不定愁訴に対する鍼治療の検討 ―睡眠相後退症候群(DSPS)と思われる一症例―」と題して症例検討が行われ、活発な質疑応答があった。