平成20年7月号
生体制御学会ホームページ委員長
河 瀬 美 之
平成19年8月まで「研究班紹介」と題して研究班の班長の先生より研究班の紹介を頂いておりましたが、9月より、メディアの医療情報の中で研究班に関係する記事がありましたら各班長にコメントを頂き、日頃の臨床に役立てて頂く目的で「生体制御学会NEWS」を発信させて頂きます。
今回は『臨床鍼灸治療の客観的評価の方法論』について、生体制御学会研究部情報・評価班班長の皆川宗徳先生に以下のように解説して頂きました。
臨床鍼灸治療の客観的評価の方法論
生体調整機構制御学会研究部 情報・評価班班長
皆川 宗徳
平成20年1月27日の情報・評価班の勉強会において、黒野保三先生から「臨床鍼灸の現場において、腹部の鍼刺激により、胃や腸の運動に変化があらわれることは臨床上経験されることであるが、その現象は実証医学的に明らかにされていない。腹部の鍼刺激で胃や腸の運動に変化があらわれる頻度を調べるだけでも価値がある。」とご指導を頂きました。
今回、第57回(社)全日本鍼灸学会学術大会(京都大会)のテクニカルスキルアップ講座に参加させて頂きましたが、その折、明治国際医療大学臨床鍼灸学教室准教授の今井賢治先生から「胃機能の評価を応用した鍼灸研究技法」と題して胃機能の評価について説明がありました。その中で、「これまでに胃運動に対する鍼灸の効果を確認した研究では、内視鏡、X線下での胃透視、内圧測定など様々な手法が応用されているが、X線下での胃透視の研究では、日本ではじめて黒野保三先生がテレビ博物館(1986年)で、足三里刺鍼により胃運動が亢進したことを証明されている。」との説明がありました。
現在、胃運動の客観的指標として、ニプロ株式会社製の胃電図は、非侵襲的に胃の電気活動が体表から記録する手法として開発されており、臨床鍼灸研究に応用できるものと考えられます。
今回、(社)全日本鍼灸学会愛知地方会研究部情報・評価班では、黒野保三先生のご指導の下、ニプロ株式会社から胃電図を半年間(平成20年6月~11月)鍼灸研究の目的で使用させていただく事になり、臨床鍼灸治療の客観的評価の方法論を、胃電図を通して研究していくことになりました。