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腰痛に対する鍼治療の検討(9)-RDQを指標とした多施設での検討-(京都大会)

愛知地方会研究部疼痛疾患班

○河瀬美之,石神龍代,中村弘典,服部輝男,皆川宗徳,校條由紀,黒野保三

 

【目的】

我々は腰痛に対する鍼治療の有効性を検討する目的で、第56回(社)全日本鍼灸学会学術大会(岡山大会)において腰痛特異的QOL尺度であるRDQ日本語版(Roland-Morris Disability Questionnaire)とVASを使用して腰痛に対する鍼治療の有効性を検討した結果、RDQ素得点とVAS値が有意に改善したことを報告した。

今回は福原らのRDQ基準値による偏差得点について検討したところ、興味ある結果が得られたので報告する。

【方法】

対象は2006年10月1日から2007年3月31日までの6ヶ月間に6施設に来院した患者のうち、腰痛を主訴とした患者21例(男:女=12:9、平均年齢47.7±15.7歳)とした。この患者に対して鍼治療を行い、治療前にRDQを、治療前後にVASを実施し、その経過を観察した。

【結果】

平均治療回数4.3回の鍼治療を行った結果、腰痛関連QOLのRDQ素得点と偏差得点の平均はそれぞれ初診時8.86±4.7点・35.39±15.6点、最終時5.14±4.9点・44.2±14.8点となり、それぞれ有意な改善(p<0.05)が認められた。VAS値においては初診時治療前後では有意な改善が認められなかったが、初診時治療前と最終時治療前において有意な改善(p<0.05)が認められた。

【考察】

RDQは偏差得点を算出することにより年齢・性別を反映させたQOL状態を把握でき、VAS値同様、腰痛に対する鍼治療の有効性を客観的に検討できうるものと推察された。しかし、RDQスコアはQOL尺度であるため、短期的な治療回数では検討しにくい症例も存在するため、このことは今後の検討課題にしていきたいと思う。

【結語】

RDQとVASを使用して腰痛に対する鍼治療の有効性を客観的に検討できることが確認できた。

 

キーワード:腰痛、鍼治療、RDQ、偏差得点、VAS