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腰痛に対する鍼治療の検討(8)-腰痛と不定愁訴カルテの関係について-(京都大会)

愛知地方会研究部疼痛疾患班

○甲田久士,河瀬美之,石神龍代,中村弘典,服部輝男,皆川宗徳,井島晴彦,加納俊弘,杉﨑文彦,校條由紀,絹田 章,中村高行,黒野保三

 

【目的】

我々は、第55回(社)全日本鍼灸学会学術大会において腰痛と(社)全日本鍼灸学会研究委員会不定愁訴班黒野保三班長作成の不定愁訴カルテの関係について検討したところ、不定愁訴の層別分類(うつ状態性項目とその他の項目)によって腰痛改善に差が認められたことから、腰痛の予後に対する不定愁訴指数の有用性を報告した。そして第56回(社)全日本鍼灸学会学術大会では罹病期間が長期の腰痛に対して、自律神経失調性項目とその他の項目に着目して報告した。今回は罹病期間が短期の腰痛について検討したところ、興味ある結果が得られたので報告する。

【方法】

2000年5月より2006年12月までの期間に13施設に来院した患者のうち、主訴が腰痛であった患者121例(平均年齢51.5歳、男性72例:女性49例)に対し鍼治療(太極療法)を行い、visual analogue scale(VAS)と不定愁訴カルテを使用して評価した。今回は腰痛患者の罹病期間が短期(2週間未満)の62例のうち、不定愁訴の層別点数が自律神経失調性項目>その他の項目を1群(9例)、自律神経失調性項目<その他の項目を2群(45例)、自律神経失調性項目=その他を3群(8例)に分け、VASによる鍼治療の有効性について検討した。

【結果】

VASの初診時治療前後において3群とも有意な改善が認められた。初診時治療前と最終時治療前では2群3群で有意な改善が認められた。

【考察】

今回の結果から、自律神経失調性項目がその他の項目よりも高い症例では急性の腰痛患者の予後に影響を与えることが示唆された。

【結語】

腰痛患者に対し不定愁訴カルテを使用して自律神経失調性項目とうつ状態性項目に着目することは、病態や罹病期間を把握することと同様に、予後の判定や治療方針の決定のために有用であることが示唆された。

 

キーワード:腰痛、鍼治療、不定愁訴カルテ、自律神経失調性項目、太極療法