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慢性C型肝炎に対する鍼治療の一症例‐膠原病・狭心症を併発した症例‐(京都大会)

東洋医学研究所®  

角村 幸治、黒野 保三

 

【目的】

慢性C型肝炎と診断され、膠原病、狭心症を併発した患者に対して鍼治療を行ったところ、易疲労感、レイノー現象、狭心症など様々な症状が改善してQOLが向上した症例を報告する。

【症例】

67歳女性。主訴:疲れやすい。現病歴:昭和49年に輸血をしたため血清肝炎を発症して1年間絶対安静の状態が続いた後、数年かけて回復した。平成5年2月に引っ越しとマンション経営で忙しかったため体がだるくなり7月には微熱、足のむくみなどの症状が出て大学病院にて慢性C型肝炎と診断された。翌年4月にインターフェロン治療を行う予定であったがレイノー現象と毎月おこる狭心症のために体力に自信がなくなり副作用回避のために12年間見送っていた。平成18年8月に東洋医学研究所Rの慢性肝炎に対する鍼治療の研究を知り来院した。初診時所見:不定愁訴指数13点、GOT:67IU/l、GPT:55 IU/l、総ビリルビン1.2mg/dl、血小板数10万/μl。服薬:ウルソ、アダラート、フランドルテープS、バイアスピリン、ムコスタ錠。平成18年9月2日~翌年6月22日までに週1、2回の頻度で67回にわたり黒野式全身調整基本穴による太極療法を施した。

【結果】

易疲労感や様々な愁訴が改善し、狭心症やレイノー現象が消失したことで以前は行けなかった旅行や遠方の結婚式に行くことが出来た。服薬が減り体力に自信がついたことで翌年3月20日にインターフェロン治療の開始が出来て、その後も不定愁訴指数8点と愁訴が少なく副作用を最小限に留めることができたと思われる。

【考察・結語】

慢性C型肝炎は易疲労感を主訴として様々な不定愁訴を訴える疾患である。また、自然治癒は難しく現在ではインターフェロン治療が有効とされているが副作用発現の可能性も少なくない。今回、膠原病、狭心症を併発した慢性C型肝炎の症状に対して鍼治療が有効であったことは、鍼治療を行うことで慢性C型肝炎患者のQOL向上に大きく貢献できる可能性が示された。

 

【キーワード】

慢性C型肝炎、太極療法、狭心症、膠原病、インターフェロン治療