愛知地方会研究部 生体防御免疫疾患班
東洋医学研究所®
○橋本高史、角田洋平、中村 覚、石神龍代、井島晴彦、中村弘典、河瀬美之、狩野義広、皆川宗徳、服部輝男、絹田 章、黒野保三
【目的】
花粉症の症状に影響を与える花粉飛散量や気象条件は毎年変化する為、東洋医学研究所Rグループにおいて、過去2回同様花粉症に対する鍼治療の有効性を、日本アレルギー性鼻炎QOL調査票(JRQLQ) No.1、2、鼻アレルギー診療ガイドラインを用い検討したので報告する。
【方法】
2007年2月から4月末までに東洋医学研究所Rグループ9施設において、花粉症の症状を訴えた患者43名を対象に、週1回以上の頻度で鍼治療(黒野式全身調整基本穴を用いた太極療法)を施し、JRQLQを用いて1回目調査時と鍼治療7回終了後の2回目調査時を比較検討した。
【結果】
3年間の調査から花粉飛散量の変化による症状を比較すると、飛散量の多少に関わらず同程度の症状が発症していた。
2007年の調査では鼻・眼の症状とQOL質問項目、花粉症重症度において改善傾向が認められ、目のかゆみとQOL質問項目6因子中の3因子、総括的状態で有意な改善(p<0.05)が認められた。
【考察】
今回の調査で鼻・眼の症状、QOL質問項目、花粉重症度において改善傾向が認められ、5項目で改善が認められたことから、鍼治療は花粉症の治療に有効である可能性が示唆された。
3年間の花粉飛散量の変化による症状を比較すると、飛散量の多少に関わらず同程度の症状が発症していたことは、大久保等の花粉大量飛散年と平年並の飛散年の症状の程度に差は認められなかったとの報告と一致していた。
【結語】
3年間の研究結果から、花粉飛散量が変化しても症状に大きな変化は認められなかった。
花粉症の症状に対する鍼治療の有効性については、JRQLQを指標とし検討したところ、鼻・眼の症状やQOL質問項目、総括的状態、花粉症重症度において有効であることが示唆された。
キーワード:日本アレルギー性鼻炎QOL調査票、花粉症、鍼治療、黒野式全身調整基本穴、太極療法