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第233回定例講習会

日時:平成20年2月3日 午前9時30分~午後4時

場所:名古屋市立大学医学部基礎教育棟第一講義室

内容

1)臨床鍼灸医学研究 (認定指定地方会研修講座)

「医療関連の資料紹介」

「脳科学と鍼灸医学について」

(社)全日本鍼灸学会参与

愛知地方会名誉会長 黒野 保三

(内容紹介)

 本年最初の講習会です。前回の講習会からたった3ヶ月しかたっていませんが、一年も二年もたった気がするのはなぜでしょうか?その答えと共に現在の医療界、鍼灸界について教えていただきました。「この3ヶ月ですごい勢いで世の中が変化し、特に分子生物学分野で歴史的進歩をしたことは周知のことだと思います。京大における万能細胞の作成の成功がはずみとなり、それに国家が新しい予算をつけて新しい発見が次々と行われる事が期待され、すばらしい世界になることを願っています。もちろんこの通りにいけば問題はありませんが、西洋医学では進歩すればするほど抑制のリスクがかかります。特に倫理的な問題があり、現在の最先端となった自己細胞からの再生においても再生能力の開発によって倫理的に問題となるような組織や器官へ分化できることがあげられます。しかし、行って良いこと、悪いことの敷居までも討論できるほど、ここ数ヶ月の発展には目を見張ります。

 現在のこの生命科学が急速に発展したのは、ほんの50年のことです。解剖学・生理学・病理学など現象の解析が西洋医学の基礎をなしています。鍼灸も臨床での現象を経験的に積み上げた療法です。したがいまして、現象を正しく解析して新たな治療理論を体系化していかなければなりません。この治療理論の体系化には先程お話した遺伝子や分子生物学とは一見かけ離れているように思えますが、実はそうではありません。一つの例をあげますと生活環境を変えると今まで調子良かった人がいきなり調子が悪くなったりするという例は多数あります。この現象の裏にはたった一つのDNAが関与して影響を与えていることがわかりました。鍼灸の効果の一つには体質を改善するといわれていることがあります。まさにこれは体の内部環境を整えてDNAにさえ影響を与えるということも示唆されます。

 以上のように考えますと現時点では鍼治療はまだ未科学の医学だといえます。しかしながら、鍼治療は先端医学ともまた、付加価値の高い医療ともいえます。西洋医学で抑制がかかるようなリスクも鍼治療は起こさず、付加価値の高い技能で行えばさらにリスクはなくなります。これだけ可能性が高い治療を行うには、とにかく鍼灸師のレベルが問われます。いい仲間を増やして一般の人から安心されることの必要性はいうまでもありません。」と説かれました。

 次に、前回の講義の続きである脳科学における海馬での記憶について説明して頂きました。特に短期記憶、長期記憶について教えて頂き、良い刺激の長期増強や悪い刺激でのストレス反応について示され、本当の意味で刺激を与えた時の生体反応を理解して治療を行わなければならない必要性を、あらためて説かれました。

 

2)糖尿病に対する臨床病理学

「糖尿病と動脈硬化症」

小林記念病院糖尿病センター長

小林記念病院内科医長 藤井 徹

 

3)糖尿病に対する基礎・臨床、診断と治療

「糖尿病性網膜症について」

愛知地方会会長

愛知地方会研究部生活習慣病班班長 中村 弘典

 

4)ホームページ作成について

「アピールできるホームページデザインについて」

(社)愛知県鍼灸マッサージ師会IT委員 牧  正明

 

5)症例検討会

「東洋医学研究所®グループにおける糖尿病症例集積による検討-血糖値と自覚症状との相関について-」

愛知地方会経理副部長 山田  篤