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アレルギー性鼻炎に対する鍼治療の検討(第2報)-スギ花粉飛散期における鍼治療効果の検討-(岡山大会)

愛知地方会研究部 生体防御免疫疾患班

東洋医学研究所®

○橋本高史 角田洋平 中村 覚 石神龍代 井島晴彦 中村弘典 河瀬美之 皆川宗徳 黒野保三

【目的】

花粉症症状に影響を与えると考えられる花粉飛散量や気象条件は毎年変化するため、東洋医学研究所Rグループにおいて、2005年同様花粉症に対する鍼治療の有効性を、日本アレルギー性鼻炎QOL調査票(JRQLQ) No.1、2、鼻アレルギー診療ガイドラインを用い検討したので報告する。

【方法】

2006年2月から4月末までに東洋医学研究所Rグループ6施設において、花粉症症状を訴えた患者31名(男性12名、女性19名。平均年齢49.6歳)を対象に、週1回以上の頻度で鍼治療(黒野式全身調整基本穴を用いた太極療法)を施し、JRQLQを用い、1回目調査時と、鍼治療7回終了後の2回目調査時を比較検討した。

【結果】

2006年の花粉飛散量は少量にも関わらず、2005年と比較しても大きな変化は認められなかった。

1.鼻・眼の症状、2.QOL項目、3.総括的状態、花粉症重症度を1回目調査時と2回目調査時で比較すると全体的に改善傾向が認められた。

 花粉飛散量を比較すると2回目調査時に多い傾向にあった。

【考察】

今回、花粉飛散量を比較し、2006年は飛散量が少量であったが、症状を訴える患者は多く、飛散量が少なくても症状を発症することが示唆された。

眼のかゆみ症状において、角谷等の調査結果同様、花粉飛散量が多いと有意に影響を与えるという報告と一致していた。

1.鼻・眼の症状、2.QOL項目、3.総括的状態、花粉症重症度において、飛散量の多少に関わらず鍼治療により症状の改善傾向が認められたことから、副作用のない鍼治療は有効であることが示唆された。

【結語】

2006年の花粉飛散量は、2005年より大幅に少なかったにも関わらず、花粉症症状に大きな変化は認められなかった。

花粉症に対する鍼治療の効果については、2005年と同様、花粉症症状が改善し、それに伴うQOLの改善傾向が認められた。

 

キーワード:日本アレルギー性鼻炎QOL調査票、花粉症、鍼治療、黒野式全身調整基本穴、太極療法