東洋医学研究所®グループ 明生鍼灸院
青木美鈴、片岡泰弘、高橋順子、木津正義、村中友香、深谷悠平、鈴木裕明
【目的】
骨盤位における鍼灸治療効果について、今までにも数多く報告され、その有用性もあるとされている。今回、我々は当院に妊娠以前から来院し、妊娠後も鍼灸治療を継続したものの中で骨盤位と診断されたものに対する鍼灸治療効果を報告する。
【方法】
対象は2001年1月~2006年4月の間に当院に挙児を目的に来院し、その後妊娠に至った名の内、471妊娠中期(5ヶ月、16週目)以降も継続して鍼灸治療を行なった243例の経過を追った。治療方法は、明生鍼灸院基本穴への鍼灸治療に加え、骨盤位と診断されたものには、至陰穴に半米粒大の直接灸を行なった。
【結果】
鍼灸治療を妊娠中期以降も継続した患者の内、35.8%(87例)が骨盤位と診断された。その内、至陰穴への灸治療をおこなったものは70例であった。骨盤位と診断された平均週数27.7±2.7週、至陰穴への灸治療開始平均週数28.6±2.0週。治療後の頭位矯正率は80.0%(56例)であった。頭位矯正平均週数31.7±2.6週であった。15.7%(11例)は骨盤位のまま、4.3%(3例)においては分娩時の体位は不明である。
【考察と結語】
骨盤位への鍼灸治療による頭位矯正の有用性について多数の報告があるなか、当院においても80.0%の頭位矯正率が得られた。しかし、妊娠後も継続して鍼灸治療を行うも35.8%に骨盤位がみられた。至陰穴を用いない鍼灸治療では胎児の体位異常に影響を及ばさなかったが、至陰穴への灸治療を併用することで8割の頭位矯正率が得られたことより、骨盤位に対する至陰穴の有用性が示せたと考えられた。今後、妊娠中期以降の妊婦に対する鍼灸治療方法を検討し、更に妊娠期の鍼灸治療の有用性を検討していきたい。
キーワード:骨盤位、鍼灸治療、妊娠週数、治療開始集数、調査