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国民が解り易い認定制度の構築

平成19年1月1日

愛知地方会会長 中村弘典

              

 新年明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、ご健勝にて新年を迎えられましたこと心よりお祝い申し上げます。

 (社)全日本鍼灸学会は、認定制度の推進事業として認定者名簿や認定者証カードの発行などを行うことは良いことであると思いますが、一番重要なことは、国民に解り易い認定制度に発展させてこそ、価値の高いものとなるのではないでしょうか。

 国民は、鍼灸治療が安心して受療できる鍼灸師を求めており、先ずは愛知地方会名誉会長の黒野保三先生が昭和60年に提唱された専門鍼灸医認定制度(まぼろしの認定鍼灸医制度参照)のように、はっきりと資格であることを表に出すべきであり、また、認定申請時に免許の確認がなされていないことは、他の医学会の認定制度と比べると制度に不備があると思います。

 例えば、日本内科学会では、認定内科医を取得した者に認定内科専門医の受験資格を与えています。

 さらに、日本癌治療学会では三階層の認定医制度を構築しようとしています。その内容は、日本内科学会の内科専門医や日本外科学会の外科専門医のレベル、次に日本癌治療学会の腫瘍専門医のレベル、そして、分野別専門医のレベルであります。

 私も(社)全日本鍼灸学会の評議員会で二階建制の認定制度を提案したことがあります。現在の本学会認定取得者の中で、法的に鍼灸診療が行える免許(鍼灸師・医師・歯科医師・獣医師)を持った者に専門医認定の受験資格を与えるような制度であります。

 また、厚生労働大臣に正式に広告(専門医資格の広告)が許可されるには日本医学会の分科会として「日本専門医認定制機構」に加盟することが必要であります。その日本医学会の新規加盟学会審査制度検討委員会報告によると、会員に占める医師の割合と共に絶対数を点検することと、医師の指導的役割に重点を置くことの2点が重要であり、この医師の指導的役割を最近5年間の理事会等に於ける医師の構成比率として、明記するよう要望する。しかし、会員総数あるいは役員の中での医師数の割合が多少低くとも、医学に関連した学会であれば良識の判断に委ねるとあります。これは、ある程度の医師数の割合(過半数)を基準として設けた上で、例外として認めることになるであろうとしています。

 このことから(社)全日本鍼灸学会が日本医学会に加盟するには、医師が指導的立場にあることが条件であると思いますが、全く道がないわけではないと思います。しかし、年々加盟申請が厳しくなっていることは間違いありません。

 そして、社団法人として国が認めた(社)全日本鍼灸学会に、鍼灸師の殆どが入会していないことも他の医学会に比べると問題であると思います。したがって、多くの鍼灸師の学会への入会が必要であり、そのためには学会と業団とが協調することが大切であります。

 認定制度を単独法の制定や保険同意書の撤廃の引き金にできれば、鍼灸師の位置付けとなり、鍼灸界の大きな発展に繋がると思います。