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「按摩手引」に学ぶ

平成18年12月1日

組織副部長 右田一弘

              

 この書は、寛政11年(西暦1800年)伏見の藤林良伯によって著された、按摩の一般向け解説書です。その中に、現在の我々治療師にも通じる事が著されていますので紹介したいと思います。 

 

1.「按摩自慢せぬ心得」

 按摩は指先の術なれば自慢せざれども病人よく其の上手下手は知るものなり。ひたすら大切念ごろに療治すべし。

2.「療治人心得の事」

 按摩は病人の総身を残らず按ずるものゆえ婦人を療治するに人なき所遠慮あるべし、勿論陰所へんは手のゆかぬ様に心得あるべし少しにても其心動く時は療治の手留守になりて悪しく其他いろいろの害起と知りて緊く慎むべし。療治人は病客の心を察し我疾む事にひきくらべ深切に療治を施すべし、第一眠る事なかれ、多く話しをする事なかれ、人をそしる事なかれ、心静かに療治を施して兎角油断なく誠を尽くして療治すれば巧者不巧者の二つは内にあるなり、妙術もその内より出ると志るべし。又爪の延びたるは悪しく程よく爪をとるべし身の臭きは悪しく折々湯に入るべし酒多く飲むべからず、すべて人がらをつつしむべし。

3.「鍼術」

 鍼術は管針打針いろいろの流儀あれども当流の捻針は別してむつかしき故この術の修行さえよくすれば手のくるふ事なしそのほか諸流の針は何にてもそのまま出来るなり。

 

「この徐の妙術は口傳すべし修行の志ざしある人は来り學びあうべし。」 

 先人が残してくれた教訓を心に刻みながら、日々の診療に生かしていければと考えています。