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春分の日に思う

平成18年9月1日

研究副部長 平松英敬

              

 まもなく秋分の日を迎える。秋分の日は春分の日と同じで昼と夜の長さが同じ日に決められており、一年間を円で表すと、この春分の日と秋分の日を両横に配置して結ぶことにより陰陽を上下に二分することが出来る。また日が一番長い夏至を上に、日が一番短い冬至を下に配置し結ぶことにより、一年を4等分することができる。そして冬至から春分を少陽とし春分から夏至を太陽とした。また夏至から秋分を少陰とし秋分から冬至を太陰とした。さらに6等分することで三陰三陽の六気に分けたのである。古代の人は、一本の棒を地面に立てその影の長さを測ることにより、また太陽・月・星座・植物・動物などさまざまな自然現象を観察することにより、大自然の法則を知り、その情報を日常生活や治療に取り入れてきた。我々鍼灸師は、何千年と蓄えられた先人の知恵のお陰で支えられているのである。

 この先人の知恵を、古い哲学だ、非科学的だと捨ててしまえばそれまでである。否定からは何も生まれない、まずすべて肯定である。この知恵を生活に臨床に大いに取り入れれば宝の山である。またこの先人の知恵を科学的に、また臨床的に証明できるものは証明し、後世に伝えるものと伝えないものに仕分けし、宝の山として残すのも我々の大切な仕事の一つだと思う。