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難治性不妊症に対する中リョウ穴刺鍼併用の試み(金沢大会)

東洋医学研究所®グループ 明生鍼灸院

鈴木裕明、村中友香、小林美鈴、片岡泰弘、高橋順子、木津正義

明治鍼灸大学 臨床鍼灸医学Ⅱ教室

本城久司、北小路博司

 

【目的】

  我々はこれまで一般不妊治療歴2年以上もしくは高度生殖医療(以下ART)が必要な難治性不妊症に対し鍼灸治療を行い、その有用性を報告してきた。しかし、鍼灸治療を継続しても妊娠に至らない症例も少なからず存在する。一方、我々は過活動膀胱や慢性骨盤痛症候群に対する中リョウ穴刺鍼の有用性を報告しており、骨盤内臓器への調整作用が期待される。今回、難治性不妊症患者の中でも特に不妊歴が長い難治例に対して中リョウ穴刺鍼を併用した鍼灸治療を行い、非常に興味ある知見が得られたので報告する。

【方法】

  難治性不妊症のうち、不妊歴が5年以上で、ARTを5回以上経験し、鍼灸治療を1年以上行ったものの妊娠に至らなかった患者18例(年齢38.6±4.3歳、不妊歴8.6±2.9年、ART回数11.8±6.3回、鍼灸治療期間3.1±1.8年)を対象とした。治療方法は今までの鍼灸治療に加え中リョウ穴刺鍼を併用した。期間は平成17年4~12月の9ヶ月間とし、平均2.7ヶ月間行った。中リョウ穴刺鍼は直径0.3㎜、長さ60㎜のディスポーザブル鍼を用い、50~60㎜刺入し10分間の徒手的刺激を週1回の間隔で行った。

【結果および考察】

  18例中7例(38.9%)が妊娠に至った。妊娠方法はARTが6例、自然妊娠も1例みられた。一般的にARTの妊娠率は回数を重ねるごとに減少し、4回目以降は10%未満であることを考えると、5回以上のARTを行っても妊娠に至らなかった難治例が、中リョウ穴刺鍼の併用により妊娠に至ったことは、これまで以上に不妊症患者への福音になると考えられる。一方、作用機序について詳細は不明であるが、中リョウ穴刺鍼による骨盤内臓器の血流改善が示唆されており、本検討においても子宮、卵巣の血流を改善させ妊娠に至ったものと考えられた。

【結語】

  中リョウ穴刺鍼を併用した鍼灸治療は難治性不妊症患者に対しても効果が期待できる治療法であると示唆された。

 

キーワード:難治性不妊症、中リョウ穴、骨盤内臓器、鍼灸治療