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循環器疾患と血圧測定-コロトコフ音聴取時のノイズと循環器疾患について-(金沢大会)

東洋医学研究所®グループ弥富鍼灸院

服部輝男

 

【はじめに】

 聴診法による血圧測定時に、たびたびコロトコフ音とは音色を異にする音を聴取することがあった。この音を私は血管ノイズと称し(以下血管ノイズと言う)、これに対する文献を調べたが発見できなかった。そこで脈波・コロトコフ音記録計を用いてデータ集積を行い検討したので報告する。

【方  法】

 2002年1月4日より2006年4月10日までに来院し、コロトコフ音記録計を用いて血圧測定を履行し、本血圧計がノイズとして切捨てを行ったコロトコフ音図を血管ノイズありデータとして採用した。血圧測定を履行しコロトコフ音図の得られた患者女性111名男性45名平均年齢61.2歳を対象とした。

【結  果】 高血圧を示した症例は85名、ノイズを示したのは45例であった。高血圧を示した症例のうち血管ノイズを有する症例25例、また遺伝的素因を有しノイズを示した症例は23例であった。

 また、本症例の中には脳梗塞発症例が2例含まれ2例共麻痺側に激しいノイズを伴っていた。

【考  察】

 循環器疾患に於いて血圧測定は重要項目であり、日本循環器管理研究協議会では血圧測定について詳細な注意事項を述べている。正確な測定を履行することでコロトコフ音のほかノイズも聴取できることと思われる。

 今回、ノイズを示した症例のうち高血圧を示さなかった症例17例は降圧剤を服用している可能性もあり薬物の服用も十分問診する必要がある。

 遺伝的素因も必要なためインフォームドコンセントを取った後、家族歴を取る必要がある。

 脳梗塞発症の2例はともに麻痺側にノイズを伴っていた。

 また、今回血圧測定時に異音として捕らえていた音を血管ノイズと称して処理してきたが何かのシグナルである可能性も考えられる。

 【結  論】 

1.今回、血圧測定時に聴取される血管ノイズを記録するため脉波コロトコフ音記録計を用い血圧測定を行った。

2.血圧測定時に聴取される血管ノイズを視覚的に捕らえることができた。

3.この血管ノイズは27.2%に認められた。

4.今回血管ノイズとして処理してきた異音は何かのシグナルかもしれない。

5.今後もデータ集積を行い臨床的意義について検討していきたい。

【キーワード】 コロトコフ音記録計 血管ノイズ 脳梗塞 インフォームドコンセント