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季節と脉状診との関連研究(3)-大暑・大寒時:A-B-A-B法による検討-(金沢大会)

愛知地方会研究部情報評価班

〇皆川宗徳、石神龍代、中村弘典、服部輝男、河瀬美之、甲田久士、絹田 章、田中法一、井島晴彦、山田 篤、加納俊弘、校條由紀、杉﨑文彦、迫井 豪、後藤博文、片岡泰弘、中村 覚、黒野保三

 

【目的】

  黄帝内経素問平人気象論篇第十八と難経十五難において、春夏秋冬の平脉に変化があると述べていることに着目し、大暑の時期に室内の温度変化によって脉状、最高血圧、最低血圧、心拍数、コロトコフ第3音に変化があるかどうかをA-B-A-B法の研究デザインを用い検討した結果、興味ある結果が得られたので報告する。

【方法】

  対象:健康成人男性8名(平均39.3 ±10.6 歳)、実験日:平平成17年7月24日(大暑時期)。室内温度変化は、29.5℃(A)→26.5℃(B)→29.5℃(A)→26.5℃(B)であった。この温度変化時に血圧→脉状を測定し比較検討した。

【結果】

  最高血圧(mmHg):(A)124.7→(B)123.4→(A)120.8→(B)125.6となり2回目のAB間に有意な差が認められた。最低血圧(mmHg):(A)61.6→(B)63.8→(A)60.8→(B)68.6となり2回目のAB間に有意な差が認められた。心拍数(回/分):(A)66.3→(B)57.8→(A)57→(B)57.9となり1回目のAB間に有意な差が認められた。コロトコフ第3音(mmHg):(A)82.9→(B)85.8→(A)85→(B)90.9となり有意な差は認められなかった。脉状に関しては、浮・沈:(A)浮7名、中1名→(B) 浮7名、中1名→(A) 浮7名、中1名→(B) 浮7名、中1名と変化が認められなかったが、脉状を図式化して記入することにより、同じ浮でも温度変化によって、中に近い浮であることが判明した。

【考察】

  大暑の時期における血圧と脉状の変化をA-B-A-B法を用い検討したところ、温度変化による血圧の変化と脉状の図式化による

指標により脉状の変化を客観的に捉えることができた。

【結語】

 今後さらに古典文献に記載された理論を一つ一つ実証医学的に究明して行きたい。

 

キーワード:大暑 脉状診 素問 血圧