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不妊患者の月経所見①-初診時における月経所見の比較検討-(金沢大会)

東洋医学研究所®グループ 明生鍼灸院

村中友香、小林美鈴、片岡泰弘、高橋順子、木津正義、深谷悠平、鈴木裕明

 

【目的】

  今回、不妊症患者226名を器質的疾患無しをA群、有りをB群に分類し、初診時における月経所見を比較検討したので報告する

【方法】

  2004.11~2005.9までの11ヶ月間に明生鍼灸院に来院した不妊症新患226名を対象とし、A群(150名)B群(76名)に分け、月経障害指数調査表をもとに以下5項目について調査し比較検討を行なった。①年齢・不妊歴・病院通院歴②月経所見(周期・期間・鎮痛剤の有無・経質・量・色・血塊)③月経前症状④月経時症状⑤平均合計点数

【結果】

  ①年齢(歳):A群33.5±4.2 B群34.2±4.5 不妊歴(年):A群3.3±2.4 B群3.8±3.1 病院通院歴(年):A群2.0±1.7 B群2.9±2.7 (p<0.05) ②月経状態の選択率の高値 [A群]周期:正常範囲81.2%、期間:正常範囲96.6%、鎮痛剤なし69.6%、経質サラサラ50.0%、量普通47.6%、赤色59.5%、血塊少ない46.9% [B群]周期:正常範囲86.8%、期間:正常範囲88.0%、鎮痛剤なし51.3%、経質ドロドロ・サラサラ共に47.8%、量普通52.7%、赤色63.6%、血塊少ない41.3%(複数・無回答含まず) ③A・B群共に下腹部が痛む、乳房が痛む、イライラする、下腹部が張る、を選んだ者が多かった。④A・B群共に下腹部が痛む、腰痛、疲労感、下腹部が張る、を選んだ者が多かった。⑤平均合計点数は月経前A群12.8点、B群16.7点(p<0.05)となり、月経時A群15.2点、B群18.8点となった

【考察と結語】

  月経前症状には有意差があったが、不妊症患者は月経によって精神的ストレスを強く感じてしまうため、痛みやその他の症状を器質的疾患の有無に関係なく感じやすいことが示唆された

 

キーワード:不妊症、月経所見、器質的疾患、月経障害指数調査表