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知熱灸による爪白癬の治療 第2報(金沢大会)

第一クリニック

校條由紀、早川律子

 

【目的】

 我々は抗真菌剤投与が困難な爪白癬患者に対して、灸治療を試み症状の軽快を経験し、外用薬療法のみでは治癒例がないが灸治療を併用し改善例の発現を認め報告した。今回さらに例数を増やし検討した。

【方法】

 対象:2000年6月から 翌年9月の期間に直接鏡検により爪白癬と診断されたが内服療法の困難者な36例を外用療法単独群8例、平均61才 男3名、女5名(A群)と、脱落8例を除いた灸治療と外用療法併用28例、平均61才、男12名、女16名(B群)の2群にし、比較検討した。方法:灸は罹患爪の爪後郭の両側に半米粒大の知熱灸を1壮ずつ、および爪の混濁部の範囲分に半米粒大の知熱灸を週1回施行。効果は混濁比と直接鏡検にて判定した。

【結果】

 A群では治療開始後24週間までに爪の混濁比が改善した例はなかった。B群の混濁比の平均は9.3から24週間後に6.1に改善し、その内訳は著名改善6例(21%)、改善6例(21%)、やや改善12例(43%)、不変または悪化4例(14%)であった。24週間後に混濁比が0となり、直接検鏡で菌陰性になったのは3例(11%)であった。

【考察】

 知熱灸で爪白癬が改善した理由は血流の改善による爪の成長の促進と、約40度の熱による真菌の促成の効果と推測した。灸治療の間隔が開くと混濁比が悪化する例があり、灸の治療の頻度は週1回以上にすべきだと考えた。

【結語】

 灸治療は抗真菌剤の内服療法の難しい爪白癬例への治療法として選択肢に成りえると結論した。