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統合医療の流れ

平成18年3月1日

監事 石神龍代

              

 この数年間、「統合医療」に対する関心は国の内外において高まっています。

 統合医療とは近代西洋医学と代替・伝統医療が統合された第3の医学であり、未来の医療となるものと予想されています。

 統合医療の動きは約10年前、米国においてアリゾナ大学のアンドルー・ワイル博士らの提唱によって始まりましたが、その後ヨーロッパおよびアジアを経て世界に伝わっています。

 日本においては、1998年12月20日に「東洋の知恵と西洋の科学を融合し、第3の医学を確立し、個人の体質と個性に適合した統合的医療を目指す。この思想を健康の維持、疾病の予防、疾病の治療に応用し、世界の人類の身体的のみならず、精神的、社会的な真の健康に貢献する。」という理念のもと、渥美和彦東京大学名誉教授を代表とした「日本代替・相補・伝統医療連合会議(JACT)」が設立されました。

 さらに2000年12月23日には、国際会議の受け皿として、渥美和彦日本代替・相補・伝統医療連合会議理事長らが発起人となり、「日本統合医療学会(JIM)」が設立されました。

 そして、2004年1月31日2月1日の2日間に亘り、東京の浜離宮朝日ホールにおいて、日本の学会の代表をはじめ、米国より、ワイル博士、クローネンバーグ博士、さらに、中国、韓国、インドの伝統医療・代替医療の専門家が一堂に会して、日本で初めての「国際統合医療専門家会議」が開催されました。会議の最後にまとめられた「統合医療に関する東京宣言2004」では、今後「国際統合医療推進委員会」を設置し、海外の研究者と協力して統合医療を推進していくことが確認されました。

 2005年には、統合医療に関連する20の学会を代表する有志が集まって「日本統合医療推進学術連合」が組織され、自民、公明、民主の三党、衆参の議員が85人集まって超党派の「統合医療を実現する議員連盟の会」(会長:綿貫民輔氏)が組織され、さらに、経済界、文化人を中心とする「統合医療を実現する民間人の会」(会長:中條高徳氏)が組織されました。そして、この三団体が団結して、三位一体の「統合医療を実現する会」が動き始めました。

 また、日本における統合医療に関する初めての書である『統合医療―基礎と臨床―』(編集:日本統合医療学会)が刊行されました。

 このように統合医療に向かう流れの中で、医療資格者としてチーム医療の中へ鍼灸師が参加していくには、黒野保三愛知地方会名誉会長が以前から提言しておられる「学術・教育・行政団体が一堂に会して、鍼灸医学の確立・鍼灸医学教育の高度化・鍼灸師の位置付けに対する法制化」が急務であると思います。