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愛・地球博が投げかけたものを大切に育てよう

平成18年1月1日

組織部長  鈴木武志

              

 2005年は2月のセントレア開港に始まり、愛工大名電の選抜高校野球優勝、大盛況で進んだ半年間の愛知万博。そして景気回復の先導的役割を果たしたトヨタ中心の中部経済界のがんばり。元気な愛知県ばかりが目に付いた1年となりました。

 中でも愛知万博は、高度経済成長下の大阪万博以来の大イベントで、この不況下にもかかわらず180日間に2000万人以上の人が会場に足を運びました。そして元気愛知のエネルギーにふれ、万博のテーマでもある地球に優しい未来社会を考え、元気を取り戻す良い機会になりました。

 万博のテーマが人と自然・環境に優しいと言う、一見矛盾しそうな気もしますが、多くの人に自然を護る大切さを認識させてくれました。でも日本人の悪い癖で、この愛・地球博のテーマもすぐに忘れてしまいそうでちょっと心配です。

 今あちこちで、エコロジーの重要性が声高に叫ばれています。

 私たち医療人、東洋医学の実践者としては、天人合一の総合的観点に立って、自然との共生を今こそ大きなうねりにしていく為に何かをしていく必要があると思います。

 人類は、化石燃料の大量使用とそれによる工業化・技術革新により、今日の先進文明を支え発展させてきました。しかし、それと引き替えに自然破壊と地球温暖化がもたらされ、人類の未来に大きな影を落とす結果となってきたことはみんなが認めるところとなっています。

 しかし、高度経済成長をすでに成し遂げた先進諸国にあって、二酸化炭素の排出量を減らすことは景気を悪化させよということであり、発展途上国では経済成長をやめろということと同じ意味になります。でも、地球温暖化防止のために二酸化炭素排出規制をする運動は、乱開発を食い止めることに直結した重大なもので、食料・人口問題と並んだ地球乱開発防止の車の両輪と思われます。特に先進諸国・資源消費国にあっては消費削減とリサイクル型社会の実現しかないわけですから、二酸化炭素排出抑制を企業人の努力に任すだけでは無責任であり、また実効性にも乏しいと考えます。

 今日の地球上の自然破壊を生んだ元凶は先進諸国であります。その先進諸国にあって一定の教育を受けた者、衛生学を学んだものこそが率先してこの運動を推進する義務があるのではないでしょうか。

 人の欲望には限りがないもので、便利な生活・豊かな生活を後退させることはなかなか出来ないことです。しかし、今こそその欲を自制する勇気を持たなければならない時だと思います。心の中の戦いでもあります。人々が、もったいないの言葉を大切に、常に質素な生活を心がけ、ゆっくりと生きる。ゴミ拾い運動のような、気づいた人がまずおこなう身近なひとつひとつの行動は、多くの人の意識を代えていくことになります。

 もちろんこのような大きな課題については、個人の努力だけで解決させることは不可能で、地方自治体や国、国際社会が一体となって知恵を絞り、多角的・総合的施策を示し推進して行かなくてはなりません。そしてみんなが全力を挙げて協力し、必ず実行していく勇気と信念を持ち続けていきたいものと思います。

 未来の子供たちにかけがえのない自然、美しい地球を残していくことは人類としてこの地球上に生まれた者のつとめなのですから。