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症例集積研究の重要性

平成17年11月1日

研究部長 皆川宗徳

              

 (社)全日本鍼灸学会愛知地方会研究部は、昭和58年に発足以来21年間にわたり名誉会長の黒野保三先生のご指導のもと研究活動が行われ、一地方会としては今や全国一の研究業績をあげていることは歪めない事実である。

 本年、福岡で開催された第54回(社)全日本鍼灸学術大会では、愛知地方会から過去最高の26題の研究発表が行われ、一地方会としては全国一の演題数である。

 今回、26題の発表の中で3題が症例集積研究であった。この症例集積研究の研究デザインは、黒野保三先生より、東洋医学研究所®の症例検討会において、一症例報告に止まることなく、同一疾患6例以上を集積できたものを比較検討してはどうかという指導を頂き、黒野保三先生が言われる「臨床鍼灸診療で得られる現象を正しく捉え、それを収集して、新しい臨床鍼灸医学理論を実証医学的に検討していく作業を積み重ねることが重要である。」という言葉を基本に置き、東洋医学研究所Rの症例検討会において、同一疾患6症例以上を集積し検討がなされた。

 

第54回(社)全日本鍼灸学術大会(福岡大会)

症例集積研究デザイン発表演題

 

1)睡眠障害に伴う不定愁訴に対する鍼治療の検討

東洋医学研究所® 石神龍代

 

対象: 東洋医学研究所®グループに睡眠障害を訴えて来院した患者6名

 

2)東洋医学研究所®グループにおける糖尿病症例集積による検討

東洋医学研究所® 山田 篤

対象: 東洋医学研究所®グループにおける糖尿病に対する鍼治療の症例報告15例

 

 

3)月経困難症状に対する鍼治療の検討

東洋医学研究所® 山下喜代

対象: 東洋医学研究所®の症例検討会において、(社)全日本鍼灸学会愛知地方会研究部不定愁訴班月経困難症状質問表を用いて報告された7症例

 

 以上3題の症例集積研究は、全国でも初めてのことであり、臨床鍼灸研究を臨床の現場で実践していく姿勢の大切さを学ばせて頂いた。

 現在、愛知地方会研究部には8班の研究班(頭鍼療法班、疼痛疾患班、循環器疾患班、不定愁訴班、糖尿病班、情報・評価班、婦人科疾患班、生体防御免疫疾患班)がありますが、各研究班が一つでも多くの症例を集積し、症例集積研究の研究デザインにより臨床鍼灸研究を進めていくことが重要であることを痛感した。