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鍼治療による風邪罹患回数の変化-第2回アレルギーアンケート調査の解析結果から-(福岡大会)

愛知地方会 東洋医学研究所®  

○角村幸治、石神龍代、皆川宗徳、中村 覚、米山徹子、橋本高史、角田洋平、黒野保三

 

【目的】

アレルギーに対する鍼治療の有効性を検討する目的で、2003年4月に東洋医学研究所においてアレルギー疾患班が発足した。前回の千葉大会で鍼治療はアレルギー疾患の症状改善とアレルギー悪化因子であるストレス、疲れの軽減に有効であることがアンケート調査により示唆された。

 今回、再度同アンケートを行いアンケート項目の一つである鍼治療による風邪罹患回数の変化について興味ある結果が得られたので報告する。

【方法】

調査対象は2003年5月16日~同年8月16日及び2004年9月10日~同年10月16日の期間に東洋医学研究所グループの12施設に来院した患者のうちアンケートに協力をいただけた281名(男性90名、女性191名、年齢14~91歳、平均年齢60±16.29歳)とした。記入漏れがあった31名、及び1年の風邪罹患回数が0回と回答した27名は除外とし、223名で検討した。アンケート内容は①鍼治療前の1年の風邪罹患回数、②鍼治療後の風邪罹患回数の変化、③鍼治療来院期間について調査・分析した。

【結果】

鍼治療来院期間半年未満では風邪をひきにくくなったと回答した人は17%であり、半年以上で50%以上になり、3年以上で60%以上、5年以上で82%であった。

【考察】

今回の調査の結果、長く鍼治療に通うことで風邪をひきにくくなったと自覚する患者が増えている。この結果は鍼治療が免疫機能を活性化させるという仮説を裏付ける一助になるのではないかと思われる。しかし今回のアンケートでは免疫機能が活性化され、風邪に対する耐性がつく期間については不明であり、今後のさらなる調査が必要である。

【結語】

今後アンケートの集積を続けて信頼性を高めると共に、鍼治療により免疫機能がどのくらいの期間で高まるのかを調査・分析していきたい。

 

キーワード:アンケート、風邪、鍼治療、免疫機能