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腰痛に対する鍼治療の検討(4)-腰痛と不定愁訴カルテの関係について-(福岡大会)

愛知地方会研究部疼痛疾患班

○井島晴彦,河瀬美之,石神龍代,中村弘典,服部輝男,皆川宗徳,甲田久士,加納俊弘,中村高行,絹田 章,校條由紀,黒野保三

 

【目的】

我々は腰痛に対する鍼治療の症例集積を多施設で行い、腰痛に対する鍼治療の有効性を実証医学的に見出し、第51~53回(社)全日本鍼灸学会学術大会において報告した。今回は腰痛と不定愁訴カルテの関係について検討したところ、興味ある結果が得られたので報告する。

【方法】

平成12年5月より平成15年11月までの期間に13施設に来院した患者のうち、主訴が腰痛であった患者103例(平均年齢51.0歳、男性62例:女性41例)に対し鍼治療を行い、VASとJOAスコア、不定愁訴カルテを使用して評価した。今回は腰痛患者を病態と罹病期間で分類し、その不定愁訴指数を比較した。さらに不定愁訴指数の重症度判定別の腰痛に対する鍼治療の効果についても検討した。

【結果】

過去2回の一般の患者に対する不定愁訴カルテの調査では、4つの層別分類がほぼ均等に4等分されていたのに対し、腰痛患者の場合、自律神経失調性項目22%、神経症性項目14%、うつ状態性項目26%、その他の項目38%とばらつきが認められた。この傾向は腰痛の病態と罹病期間に関係なく同じ結果であった。

 また、腰痛の罹病期間が長期の患者の不定愁訴指数は、短期の患者に比べ高い傾向にあったが、病態分類においては筋性とその他の腰痛患者の不定愁訴指数に差が認められなかった。

 さらに腰痛に対する鍼治療の効果を不定愁訴カルテの重症度判定別に比較すると、重症度が増すに従い鍼治療の効果が減少する傾向が認められた。

【考察・結語】

腰痛患者に対し不定愁訴カルテを使用することは、病態や罹病期間を把握することと同様に、予後の判定や治療方針の決定のために有用であると考えられた。

 また、今回の結果から、前回報告した腰痛に対する鍼治療効果が局所療法のみより太極療法を加えた方が高かった理由の1つが提示できたと考える。

 今後もさらに腰痛の症例を集積し様々な角度から検討してゆきたい。

 

 

キーワード:腰痛 鍼治療 不定愁訴カルテ 多施設 症例集積