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大学病院におけるペインクリニック領域の鍼治療と有用性について(福岡大会)

藤田保健衛生大学坂文種報會病院1)

愛知地方会2)

○岩田治郎、河西稔、河瀬馨、清水洋二

 

【目的】

近年、疼痛に対する治療方法の発展には目覚しいものがあり、毎年除痛目的にペインクリニック麻酔科を受診される患者数年々増加傾向にある。

藤田保健衛生大学坂文種報會病院ペインクリニック麻酔科では、主に慢性疼痛を有する患者の治療を行っており、年間延べ患者数も1万人を超えている。

今回我々は、ペインクリニック領域における鍼治療を試み、その有用性について検討したので報告する。

【方法】

対象者は、2004年3月より当院麻酔科を訪れ慢性疼痛の診断を受けた患者10名(変形性頚椎症、変形性腰痛症、頭痛など)である。

対象者の①性別②年齢③治療回数④鍼治療の効果について、それぞれ検討をおこなった。

鍼の治療方法は、症状にあった標治法を行い10分間の置鍼術を施行し週1~2回の頻度で経過観察した。

鍼治療の効果については、自覚症状と治療後に患者に負担をかけないように簡単なアンケートにて確認をした。

【結果】

男性3名、女性7名、男性より女性の数が多く年齢は32歳~89歳(平均年齢62歳)、30歳代2名、40歳代1名、50歳代1名、60歳代1名、70歳代4名、80歳代1名であった。

治療回数は平均週2回でアンケートにより心地よく眠れた3名、楽になった4名、少し楽になった3名で、不変あるいは痛みが増したと答えた人はなく、有効であると判断された。

【考察】

慢性疼痛患者に対し鍼治療の併用が有効であった理由として、神経ブロック療法(星状神経節ブロックや硬膜外ブロック)により主訴であった痛みが軽減された状態で適度な鍼刺激が血行をさらに促進し、筋緊張を緩和させ自律機能の調整が行われ症状の改善が見られたものと思われる。

【結語】

難治性疼痛や心因性疼痛を有する患者は、神経ブロック療法(星状神経節ブロックや硬膜外ブロック)と鍼治療を併用することによりさらに症状改善が期待できると考えられる。

 

キーワード:ペインクリニック、神経ブロック療法、鍼治療の併用