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アッシャーマン症候群後に効果があったと考えられる鍼灸治療-子宮内膜および月経血量の改善に対して-(福岡大会)

中和医療専門学校1)

藤田保健衛生大学 坂文種報徳會病院 産婦人科学教室2)

○清水洋二1)2)、山口陽子2)、中沢和美2)、葛谷正1)

 

【目的】

アッシャーマン症候群とは子宮腔癒着症とも言われ,子宮内膜炎,分娩後及び流産後の子宮内膜掻爬等により子宮腔が限局的及び広範囲に癒着を起こし不育症,不妊症,無月経,過少月経,月経困難症などの症状を呈する症候群である.今回我々は2回の流産後月経血量が顕著に減少しアッシャーマン症候群と診断され,子宮腔癒着剥離後,子宮内膜増殖のためカウフマン治療を受けるも子宮内膜及び月経血量の改善傾向があまりみられなかった患者に鍼灸治療を行い,良好な結果を得たので報告する.

【方法】

患者は30才(初診時)女性.平成13年7月及び11月に流産により他院にて子宮内膜掻爬処置を受け,11月の掻爬後月経血量が著名に減少し,平成15年1月子宮腔癒着疑いで当院受診.子宮卵管造影にて子宮腔広範囲癒着確認後,同年2月子宮腔癒着剥離術施行.同年5月まで術後の再癒着防止のためのIUD挿入及び子宮内膜増殖のためのカウフマン療法を行う.その後8月まで経過観察されるが,子宮内膜及び月経血量の改善がみられないため再度カウフマン療法を開始.9月,10月とも内膜測定できず.11月に内膜及び月経血量やや改善.カウフマン療法終了.12月月経血量11月と同じくらい.当帰芍薬散を処方.平成16年1月,月経血量が以前の半分量との訴えにより鍼灸治療を週1回の頻度で開始.治療方法は両側三陰交に灸頭鍼及び足三里に50mm20号鍼にて30分間置鍼を行った.

【結果】

鍼灸施術前の子宮内膜は計測できるも6mm前後で推移し三層構造確認できず.月経血量もやや増加及び減少を示したが,鍼灸施術4回後の2月には内膜8.9mm,月経血量も著増を示した.現在も子宮内膜は8mm以上を維持,月経血量も流産による子宮内膜掻爬以前の量に戻り推移している.

【考察・結語】

子宮内膜厚増加には鍼灸治療が有効である事が示唆された.