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鍼灸師(術者)としての人間性

平成17年6月1日

副会長  田中法一

              

 近年、鍼灸師養成施設の増設により毎年卒業生が増員され、世に多くの資格保持者が誕生しています(鍼灸師養成学校約70校・資格者誕生毎年3000人弱)。その内、約70~80%が病院などの医療機関へ就職されています。また、養成施設へ入学してくる人達は、さまざまの環境・心境・性格で多種多様であるでしょう。そんな中にも多くの人が専門家を目指して励んできていると思います。学校で学んだ基礎学習(学校教育の偏差有)で満足して臨床に携わったが治療効果に不変を経験し悩み、そこで、初心に省みて再度、現代鍼灸医学の奥深さに心打たれ再学習に取り組む人、投げ捨てる人、まあまあ主義で行く人と色々であります。

 選んだ鍼灸術者としてのプライドを高め次へのステップとして「術者は何をすべきか」、「如何したらいいのか」、「どの様にしたらいいのか」を考え前進する事が大事ではないかと思います。

例えば、

1. 患者の身になる=病む苦しみ・痛みに苦闘する気持ちを知る。

2. 親切丁寧に応じる=狭くても広くても衛生清潔な明るい陽の場所で施術する。接客の温情主義(受療の心和む)を持つ。(ここまでは人間性が必要となる)

3. 疾患の改善方法=診断と治療手段の的確性。刺激部位への正確なドーゼ。術者と患者の心のつながり。(ここまでは心と技術及び教養が必要となる)

 以上、鍼灸師として当然だが、近年の人間性に欠けてきている社会にも共通するのではないかと考えます。