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研究テーマを持とう

平成17年5月1日

愛知地方会会長 中村弘典

              

 私は現在、愛知地方会名誉会長の黒野保三先生のご指導により、(社)全日本鍼灸学会愛知地方会研究部糖尿病班班長を勤めさせて頂いています。思い起こしてみますと、東洋医学研究所に入所して、師匠の黒野保三先生に研究テーマを持ち勉強することを教えて頂いたのは、鍼灸学校の学生の頃でした。私は、そのお蔭で生涯にわたり、糖尿病をテーマに勉強していく目標ができました。この教えがなければ、現在の私はありません。特にこれから勉強される若い先生方、是非研究テーマを持ち勉強することをお勧め致します。

 現代医学においては、日本医学会の分科会が、特定の疾病を学会として専門に研究がなされています。我々、鍼灸医学においても、ある特定の疾病をテーマに研究業績を基本から積み上げることが何より大切であると思います。

 このことは、鍼灸師の位置付けにも繋がることで、鍼灸医学に関して科学的根拠に基づく医療(EBM)をもとに患者に対し充分に説明できる鍼灸師がどれぐらいいるのでしょうか。極めて少数であるといっても過言ではないと思います。私自身、糖尿病に対する鍼治療の有効性については一定の結果がでたものと思っていますが、その機序については、未だ仮説の域を脱してはいません。

 近年、オーダーメイド医療とも、テイラーメイド医療ともいわれる中、個々の患者に合った医療を提供するためには、せめて自分自身の専門といえる特定の疾患だけは、患者に対し充分に説明できる鍼灸師になるべきであると思います。

 近年、インターネットの普及により、情報が散乱しています。このことにより間違った情報が一人歩きしてしまい、鍼灸診療を行う者が、充分な技術と研究を習得せず、他人の業績や論文を、あたかも自分が専門家として研究をしたように説明していることも危惧されることであり、このような鍼灸師では社会からの信頼を失墜させている一因であるといわざるを得ません。

 今後、政府の医療改革が進み、混合診療など規制緩和が推進され、我々鍼灸界は更に厳しい状況になることは間違いありません。このため自分自身に力を付けることが生き残る最大の条件です。

 現在、(社)全日本鍼灸学会愛知地方会研究部には、頭鍼療法、疼痛疾患、循環器疾患、不定愁訴、情報・評価、婦人科疾患、生体防御免疫疾患の8班があります。是非、研究テーマを持ち基本から勉強することのできる研究班に参加されることをお勧めいたします。

 また、本年度の愛知地方会定例講習会では、業団の先生方の要望に応え、名誉会長の黒野保三先生の一人でも多くの鍼灸師を救えという言葉をスローガンに企画され、研究テーマを持つ前段階と思われる臨床の基本について、黒野保三先生による7月3日の開講日での臨床の基本についての考え方や必要性についてのお話を皮切りに、臨床の基本についての講義が予定されています。会員は勿論のこと、会員外の方も是非、参加下さいますようご案内申し上げます。