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学会で学ぶこと2

平成17年3月1日

ホームページ委員  中村 覚

             

 前回(平成16年5月1日コラム)では、「学会で学ぶこと」と題して「正しい情報を手にいれる」「人の話を聴くことが出来る体を作る」ことについて私なりに感じていることを掲載させていただきました。

 今回はその第2弾「学会で学ぶこと2」です。

 愛知地方会定例講習会では誰もが研究者になれる方法を学ぶことができます。

 皆さんは、日常の臨床の中で摩訶不思議な現象を経験することがあると思います。例えば、つい先程まで腰の痛みで満足に歩くことが出来なかった人が、鍼灸治療後には何事もなかったかのように歩いていたり、腕が挙がらなかった人が治療後には挙がるようになったりする、ということがあります。私も臨床の現場で何度も目の当たりにしてきました。

 しかし、そのようなすばらしい現象を他人に話しても「へー」と感心されるだけで、説得力はありません。

 名誉会長の黒野保三先生が定例講習会で、「臨床で得られる現象を正しく捉え、客観的に評価し、それが基礎研究につながり、また臨床に帰ってくる」と言われているように、まず臨床ありきなのです。

 愛知地方会では誰が見ても分かるような客観的評価法を常に模索し、実行しています。愛知地方会研究班の疼痛疾患班では、痛みに対する評価法について文献を用いて検討し、病態把握のために徒手検査法の実技を行い、疾患に対する統計学的評価は情報・評価班が行っています。

 その他の研究班(不定愁訴班、糖尿病班、循環器疾患班、婦人科疾患班、頭鍼療法班、生体防御免疫疾患班:アレルギー疾患班)でも、それぞれ専門の分野における客観的評価法を用いて鍼灸治療の効果を実証医学的に検討しています。

 「やった→効いた→治った」から「このようにやった→このように効いた→だから治ったと言えるでしょう」に変えるだけで誰もが認める治療効果となると思います。

 愛知地方会ではその方法を学ぶことが出来ます。難しいことは何も無く、ただ目の前にいる患者さんの体を正しく理解し、患者さんの体がどう経過していくか記録するだけです。まさに臨床で行っていることそのままです。

 是非、愛知地方会の研究活動に参加して、埋もれた鍼灸治療効果を表舞台に出していただきたいと思います。