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頭鍼療法班の紹介

頭鍼療法班

 

頭鍼療法班 班長 田中法一

 

頭鍼療法とは

 頭鍼療法における頭皮上の治療を目的とする刺鍼点は、大脳皮質領野を頭皮上に想定して定めるものと、経絡・経穴を主体に組み合わせ定めるものとがあり、頭鍼療法はその点から頭皮を切皮して頭蓋骨上の帽状腱膜上(方法によって腱膜下)を必要な位置まで進鍼する方法で、疾患の急性又は慢性によって補的・瀉的手技で刺激を与えるものです。このように頭鍼療法は刺鍼手技が異なりますが、特に、脳血管障害の後遺症に応用されていました。

 

頭鍼療法の種類

 頭鍼療法は中国で1960年代には各研究者や地域の治療者が考察して治療に実践していました。1970年代に入り、頭鍼療法の実践結果は大集され公的に発表され、流行的に各研究者が次々と発表されました。その方法は以下の通りです。

1.頭鍼療法

2.紅医針法

3.和田式頭鍼療法

4.吉田式頭鍼療法

5.田中式脳波測定点頭鍼療法

6.山元式前頭髪際刺鍼法

7.新頭鍼療法

8.朱氏頭鍼療法

 

 頭部刺激による有用性については、各種の頭鍼療法で、脳血管障害に多くの治効例が紹介され伝承されてきました。今日に至っても頭皮下を介しての刺激が、損傷部の中枢に如何なる作用機序が起きるのか正確な解明には至っていないのが現状です。

 そこで、頭鍼療法班ではこれらの歴史や経緯、臨床データを研究し、実際に臨床に応用する目的で、愛知地方会の研究部が発足した昭和58年度より活動を続けています。

 第53回(社)全日本鍼灸学会学術大会で「頭鍼と体鍼による生体反応の検討(その1)-血圧の変化-」と題して報告しました。


頭鍼療法班 2

 

頭鍼療法班 班長 田中法一

 

 頭鍼療法班は昭和58年に(社)全日本鍼灸学会愛知地方会研究部の創設時に発足し、22年が経過致しました。愛知地方会執行部各位のご指導の賜物と感謝致しております。

 頭鍼療法班の活動内容は基礎・実技・研究と進め、学会発表を行い、班員は頭鍼療法の発展に努めています。

 第54回(社)全日本鍼灸学会学術大会では「頭鍼と体鍼による生体反応の検討(その2)」と題して発表させて頂きました。

 

頭鍼療法とは

 1970年に中国山西省稷山県人民病院神経科医の焦 順発先生が提唱されたものであり、脳を源とする疾患が臨床上出現する各種の機能障害は、肢体・内臓等の運動機能、感覚機能・その他の機能を支配している大脳、その大脳の皮層細胞或いは伝導経路が抑制や損傷を受けることによるものであり、この抑制或いは損傷部位を正常な機能へ回復させる事であるということで、最も近い頭皮上に大脳皮質(領野)を想定して、疾患に相対応する領域上に刺激区(定位区)を定め、その定位区から刺鍼して治療をする方法です。

 

代表的な参考資料

1、焦 順発著   頭鍼    山西人民出版社     1982年11月

2、和田清吉資料 紅医鍼法       1975年11月

3、朱 明清著 朱氏頭皮針  東洋学術出版社     1995年 6月

4、日本鍼灸医学会 自律神経雑誌第24巻3号        1977年

5、田中法一著  脳波測定応用頭鍼  日本鍼灸治療学会誌 1987年 7月

6、吉田一次著 頭針療法への考察日本東洋意学会誌    1986年 5月

7、和田清吉資料(月例研究会) 鍼灸良導絡医学会     1990年 9月


頭鍼療法班 3

 

頭鍼療法班 班長 田中法一

 

 (社)全日本鍼灸学会愛知地方会研究部には8班の研究班が設置され、毎月一度の研究会が開かれています。非常に専門的で高度な学習・研究が実施されて発展的であります。その中で、我が頭鍼療法班はただ一つ治療法の研究グループです。頭部のみの刺激部位を治療点として全身の疾患に作用効果をあらわそうとする治療法で、刺激点の選考、刺鍼法のテクニック等修練がいります。また、脳の基礎・神経の基礎と学習も並々ではありません。

 しかし、頭鍼療法班に入班することにより、この両面を会得することができます。

 今年度の頭鍼療法班の計画としては自律神経をはじめとする神経学についての勉強・研究を進めていく考えであります。愛知地方会会員各位のご参加をお願いいたします。


頭鍼療法班 4

 

頭鍼療法班 班長 田中法一

 

 頭鍼療法班の研究として、班発足当時には頭鍼刺激のみでの有用性を研究いたしてまいりました。その結果、特に「脳血管障害」に対する有用性が示唆されました。その後、「頭鍼と体鍼による生体反応の変化」という課題に取り組み、第53回・54回・55回(社)全日本鍼灸学会学術大会におきまして結果を発表してまいりました。その結果、頭鍼と体鍼による生体反応は血気の鬱滞を改善することが共通していることが考えられました。

 その後、臨床上では内科的疾患・神経科的疾患・婦人科的疾患には多く頭鍼と体鍼の併用治療を進めています。病む人の心理は、「少しでも速くこの苦しみから逃れたい」と願うものです。そのような気持ちに対してわれわれ医療者は最善な気持ちで奉仕(治療)をしなくてはなりません。

 H19/4/10の読売新聞 ― 健康東海プラザコーナー ― に「脳卒中を予防」という記事が載っていました。内容は、愛知県医師主催・「健康教育講座」でJA愛知厚生連加茂病院脳神経外科小倉浩一郎部長の講演の一部でしたが、治療法の中に「最新の情報としては、脳梗塞後に残ってしまった半身麻痺を改善させる大脳皮質電気刺激療法という新しい治療がアメリカで開発されており、その成果が注目されています。」とありました。これは刺激部位が中と外と違うがまさに頭鍼療法であると確信し、頭鍼療法の研究に意欲が増してきました。今以上に基礎と臨床の集積が必要と再認識致しました。

 今年度の頭鍼療法班の計画としては自律神経をはじめとする神経学についての勉強・研究を進めていく考えであります。愛知地方会会員各位のご参加をお願いいたします。