· 

「鍼灸治療院来院患者の内訳」-不定愁訴カルテの分析から-

平成16年9月1日

ホームページ委員 石神龍代

 今日のストレス社会を反映して種々の不定愁訴を訴えて鍼灸治療院を訪れる患者さんが増えています。これらの患者さんを不定愁訴カルテを使用して分析した結果について少し紹介させていただきます。

 今回対象とした新患数は1436名で、男女比は1:1.9であり、女性の来院数が約2倍でありました。

 また、平均年齢は53.48歳で、年齢分布は50歳代を頂点とした山形パターンを示しておりました。

 多く答えた不定愁訴の上位5項目は、1.肩や首筋がこる、2.腰や背中が痛くなる、3.目がつかれる、4.自分の健康のことが気になる、5.足がだるいでありました。

 2001年の厚生労働省の調べによると、自分の体の気になる症状で、多くの人が訴えているのが肩こりであり、特に女性は男性の2倍以上の人が肩こりに悩み、15~64歳までの幅広い年代の人が最も気になると答えているとのことですが、今回の分析においても76パーセントの人が肩や首筋がこると訴えていました。また、2位以下の項目も現代社会を反映しております。

 重症度分類においては、軽症48%、中等症34%、重症11%、除外7%となっており、比較的軽症患者が多く来院していました。

 これらの患者さんに鍼灸治療を施したところ、効果判定は、著効26%、有効35%、比較的有効9%、やや有効10%、無効20%となり、有効性を定量的に証明することができました。

 治療頻度別では週2回以上来院群のほうが週2回未満来院群より有効率が高く、無効率が小さい傾向にありました。

 今後も種々の観点から鍼灸治療効果の定量的証明のために不定愁訴カルテを活用していきたいと思います。