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鍼灸医師の確立のために

平成16年6月1日

愛知地方会会長 中村弘典

 これまで(社)日本医師会は開業医の業権を守るために医学会の認定制度に反対してきた。しかし、医療過誤の増加が国民の医療に対する不信感を招くこととなった。そこで現在、(社)日本医師会は医療に対する不信感の回復と開業医の業権を守るために認定制度を受け入れ、開業医が自分の力量を超えた患者の場合は、厚生労働省が認めた専門医に紹介することで、医療の水準を保ち開業医の業権を守ろうとしている。

 鍼灸界も同じであり、現在の(社)全日本鍼灸学会認定制度を社会に認知させるには、(社)日本鍼灸師会の協力(認定制度に参加)を得ることにより、愛知地方会名誉会長の黒野保三先生が昭和60年から提唱してこられた専門鍼灸医認定制度(まぼろしの認定鍼灸医制度参照)のように発展させることが肝要である。

 (社)全日本鍼灸学会認定制度は認定を取得する資格の審査が不明で、鍼灸治療を行う鍼灸師免許・医師免許・獣医師(動物に限定)・歯科医師(口腔に限定)等の資格の確認がなされておらず鍼灸診療(臨床経験)のできない認定者が存在することが考えられ、このような認定制度では、推進どころか認定登録者が増えることは期待できない。

 文部科学省は資格としてのメリットの無い認定制度を疑問視しており、(社)全日本鍼灸学会認定制度の目的を早急に資格として、鍼灸師の身分を位置付ける制度に発展させなければならない。

 そこで、現在の(社)全日本鍼灸学会認定制度を活用するために、新たな資格としての認定制度を施行することが必要となり、(社)日本内科学会が行っているような二階建制の認定制度を施行することを提案したい。その内容は(社)日本内科学会では認定内科医を取得した者に、認定内科専門医(内科系関連学会の専門医)の受験資格を与えており、(社)全日本鍼灸学会認定制度においても、更に高い基準である認定制度にするため、現在の認定取得者の中で法的に鍼灸診療が行える鍼灸師免許・医師免許・歯科医師免許・獣医師免許を持った者に専門鍼灸医認定(認定専門鍼灸医)の受験資格を与え、専門鍼灸医認定を資格として発展させるべきであると考える。

 さらに厚生労働大臣に資格認定団体としての届出を行い、鍼灸専門医認定制度として、「日本専門医認定機構」に認められることになれば、厚生労働大臣に正式に広告が許可され(将来はインターネット上の広告でも規制される可能性がある)、愛知地方会名誉会長の黒野保三先生の念願である鍼灸師の位置付け(単独法の制定・鍼灸専門医認定者における保険同意書の撤廃)の第一歩となるといえる。