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学会で学ぶこと

平成16年5月1日

ホームページ委員 中村 覚

 はじめまして、今回コラムの担当をしますホームページ委員の中村と申します。名誉会長の黒野保三先生のお世話になって今年で6年目、鍼灸師歴は2年目になります。本来ならばこのような場所で何かを言える立場ではないのですが、私が今まで(社)全日本鍼灸学会に参加して感じたことを少しお話しさせていただきます。

 患者さんと会話をするときに一番怖いのが間違った情報を提供することだと思います。医療の現場は常に変動を繰り返しており、昨日まで正しいと思われていた事が覆ることも稀ではありません。知識を手に入れたいなら本などを読めば手に入れることが出来ますが、あくまで本の中の情報は過去の話であり最新の情報ではありません。そして、本を読んだときにその内容に同意する自分と、疑問を感じる自分が現れることだと思います。本が相手ではその疑問に答えを出すことは出来ません。(社)全日本鍼灸学会愛知地方会定例講習会などで講演される先生方は、正しい情報を会員の皆さんに提供し、もし講演の中で間違った情報を流したときには、その間違った情報を正す義務を有しており、その自覚を持っている先生方が愛知地方会には揃っています。

 私は学生の時から(社)全日本鍼灸学会愛知地方会定例講習会などに参加していますが、講演などを聴いていても基礎知識を持っていなかったので、初めのうちは何を言っているのかわかりませんでした。しかし、何回か参加しているうちに理解できるようになりました。要するに、講演などを何度も聴いているうちに人の話を理解することが出来る土台が作られていくということです。

 学会は鍼灸治療効果とそのメカニズムを実証医学的に解明していくことを目的にしています。偏った考え方を持つことは患者さんのためにも自分のためにもよくありません。広い視野と考え方を手に入れるには、いろいろな環境で鍼灸治療を業とされている先生方との交流が必要だと思います。特に愛知地方会定例講習会で「臨床鍼灸医学研究」として講演されている名誉会長の黒野保三先生は、研究や臨床を通じて人間の情動や人間性を磨くことに最も着目されており、その内容を講演の中でお話しされています。学会に参加することにより正しい情報を正しく理解し、疑問があればその場で解決でき、物事の正しい組み立て方を知ることが「学会で学ぶこと」だと思います。

 是非、実際に最新の情報、疑問に対する答え、そして人の話を理解する土台作りが出来る環境が整っている学会に参加しましょう。