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鍼灸師としての自覚を高く持とう

平成16年4月1日

ホームページ委員 中山 元

 このホームページのコラムを読んでくださっている方々は「鍼灸師として」日々何を思い、鍼灸に携わっているのでしょうか?

 開業・勤務(鍼灸院・接骨院・病医院・講師)・学生などの立場や、鍼灸に対する認識によって「自分は鍼灸師である」ということへの意識は大きく違ってくると思います。研究者・経営者・教育者としての意識のほうが強い方もいるでしょう。東洋医学の真髄に魅せられている方も、物理療法の一環として扱っている方もいるでしょう。また、忙しさの中で鍼灸師としての意識など忘れてしまっている方もいるかもしれません。しかし皆さん全員が、数ある職業の中から鍼灸師を選び、その道で生きていることに変わりはないと思います。

 現在鍼灸業界は、大きな変革期にあるといえるでしょう。ここ数年で養成学校の数が一挙に増え、鍼灸師の総数は劇的に増え続けることになりました。また就職先として最も多いのは指定医療機関(病院)で、そのような施設(鍼灸治療を行う病院)は今後も増えていくようです。鍼灸院に勤務する者として危機感を感じても、病院で鍼灸治療が行われることを完全否定することはできません。そこには患者さんのニーズがあり、それに応えることが一人でも多くの方の喜びにつながるのならば、鍼灸の存在目的を果たしていると考えるからです。しかし、医師の指示のもとでは、昔から鍼灸師が行ってきたような鍼灸治療は行えないことがほとんどでしょう。世の中の鍼灸治療がそればかりになってしまったら、鍼灸治療の良い部分が失われていってしまうのも時間の問題です。それならば自分が「鍼灸師として」何をしなければならないかは、自ずと見えてくると思います。

 幸いにも私は、(社)全日本鍼灸学会愛知地方会のホームページ委員会に参加する機会を与えられ、黒野先生をはじめとする諸先生方の鍼灸医学に対する情熱・意欲に触れることができました。このような機会がないままでいたら、自分は鍼灸師であるという意識が低いままに、安穏と日々を過ごしてしまっていたかもしれません。良き伝統に育まれた真の鍼灸師の存在を絶やさないためにも、鍼灸師ひとりひとりが高い意識を持って行動すること、そして勉強・研究の場としての(社)全日本鍼灸学会が行う学会や、愛知地方会が行っている生涯研修会に参加していくことが必要だと思うのです。