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定例講習会から学ぶ

平成16年1月1日

ホームページ委員 福田裕康

 毎年開催されている(社)全日本鍼灸学会学術大会の演題をみてみると、大学などの教育機関をのぞく地方会からの演題数の中で、愛知地方会が群を抜いて多いのがわかります。ちなみに平成14年第51回(社)全日本鍼灸学会学術大会では12題の発表があり、平成15年におこなわれた第52回学術大会をみてみますと一般口演が16題、ポスター発表が2題、シンポジウムなど3題があり、合計21題の発表がありました。

 では、なぜ愛知地方会は研究が進んでいるのでしょうか?その第一のきっかけが愛知地方会で毎月開催されている定例講習会にあるのではないかと思われます。諸先輩方の功績で愛知地方会の定例講習会はすでに200回以上にも達し、その中で着実に研究をするものの目が養われてきているのではないでしょうか。

 第208回の定例講習会で名誉会長であられる黒野保三先生から研究についての基本的な考え方を示していただきました。その内容は「科学するということは、物事を細かく分析して調べることと法則性を見つけることである。そして、学ぶことによって多くの疑問がでてくるようになれば、進歩したことになる。その疑問を解き明かすことが研究であり、それが新しい学問の基になるのである。」であり、日常の臨床鍼灸の現象をきちっと分析することこそ研究であり、すべての鍼灸師が一人一つでも解明すれば、鍼灸医学の発展に繋がるはずであると示唆をいただきました。

 愛知地方会の定例講習会はすぐ明日の診療に使えるとか、このツボを使えばこの病気が治るという内容ではありません。しかし、医学的(基礎医学・臨床医学)な基礎や臨床鍼灸の基本及び人間としての基本を学べるために、自然と物事の捉え方が鋭くなり、ひいては患者さんを捉える目も養われてきます。そのためか、第一発見も多く見られます。

 今日では常識となった研究や実験も愛知地方会の業績を紐解くとたくさんでてきます。肝臓の研究、免疫の研究、糖尿病の研究や各種疾患に対する研究、まただれでも臨床研究に参加できるような下地となる研究結果もでております。今一度、業績集をご参照いただきたいと思います。

 また、定例講習会を研究の第一ステップとして有効活用していくために、ぜひ参加してみてください。